記憶の引出しと消えた備忘録 2010.02.12
夕べ、建築主と3時間半に亘る打合せを行った内容を思い出せる限りまとめようと、電子メールに下書きを始めた。設計の打合せというのは、一つが解決したら、その次の課題に進めるということは少なく、たくさんの条件を俯瞰しながら、それをまとめあげて行く作業だから、打合せ記録といっても思い出すのは大変だ。
全体的な敷地計画から始まって、玄関、居間、台所、洗面、浴室、階段、2階の子供部屋、寝室、外の車庫、外構という順番で図面を見直しながら、何を話したのか思い起こして行く作業はとても集中力が必要である。記憶のすべてを引き出すことはできないけれど、そのほとんどをまとめあげるには、数時間以上は必要になる。
不思議なもので、記憶の引き出しというのは、断片的に開くことが多い、玄関脇の収納について書いていると、温水給湯器の位置も気になるし、洗面の配置について何を話したか考えていると、急に車庫の位置は現状案で良いと言っていたことを想い出したりする。あたり前のことだけれど、簡単に想い出せることはすぐに書き留められるのに、難しい話は後回しになってしまう。
そんな感じでまとめた打合せ備忘録が、いつの間にか消え失せていた。私は送信したものとばかり思っていたのだが、実は未送信状態のままで、しかも別の内容を書き留めるために、その肝心の備忘録メールを複製したつもりが、結局は上書きしてしまったようなのだ。どこを探しても出て来ないので、泣く泣くまた思い出して書いた。
記憶の引出しを、また開けるのは大変だったが、そのほとんどを想い出すことができた。こういうときに限って、バックアップを取り忘れてしまうことが多いということを痛感した一日だった。