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ローマ字表記と日本語の発音 その2 2010.05.23

その1からの続きです。

私が思うに、どんなローマ字表記を用いても日本語に近い発音にすることは不可能だろう。日本橋のnをmに置き換えてNihombashiと表示するのは理解できるが、別にnのままでも誰も困らない。マツダの車にはMazdaと書かれているが、確かにその方が発音はしやすいとは思う。

それを言い始めると、私は三重母音があるフランス語を引き合いに出したくなる。例えば、ワインで有名なボルドー地方は、Bordeauxと書くし、どうもありがとうを意味するMerci Beaucoupなんて、最初のメルシーは読めてたとしても、二つ目がボクーと発音することなど、フランス語を知っている人以外は発音できないだろう。

単純な例は他にもある。英語のHighやLightの中の、ighはアイと発音する。そう覚えなければ読めない。さらにイタリア語やスペイン語では、kを使わないから、カキクケコは、qua qui と書くことになる。そうなってくると、日本語をできるだけ正確に発音してもらおうと表記にこだわるのは無駄のようにさえ思えてくる。

日本の人で、流暢な英語を話す人も、日本語訛りで英語を話す人も、それは英語の綴りとは関係ない。単にその言葉を英語らしく発音できるかどうかだ。日本語を習っている外国の人でも、日本人と間違えるくらい上手な人もいれば、そうでない人もいる。その違いは日本語やローマ字表記に問題があるからではない。

結局のところ、日本語をローマ字でどのように綴ったとしても、それは日本語の基礎的な発音を導き出すためには役に立ったとしても、日本語を母語とする人が話すような日本語は、耳から聞くことで習得する以外にないし、それは世界中のどの言語でも同じだと思うのである。

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