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還流独歩

絵はがき 2010.08.24

日本では絵はがきを売っているところがとても少ない。ドイツでは、観光地はもちろんのこと、郵便局や百貨店、街の文房具屋、ドイツ版100円均一の「オイロ(ユーロ)ショップ」には必ずといって良いほど、その街の絵はがきが置いてある。他にも洒落たデザインのはがきがあるので、ちょっとした挨拶状として使うには実に便利である。

それに引き換え、日本の絵はがき事情はまったくもってなっていない。どんな観光地に行っても、大抵がお粗末なものばかりで、一筆書いて出したくなるようなデザイン性の優れた絵はがきを見つけるのは極めて難しい。しかも被写体の写し方や、図枠の構成も目を覆いたくなるようなのが実に多い。そんな絵はがきは買う気さえ起きない。

中には良くデザインされたものもあるが、ドイツの友人に送りたくなるような絵はがきは、美術館や博物館に行かないと手に入らないし、ましてや東京の風景を奇麗に写し出したものは少ない。東京タワーに浅草、新宿の高層ビル、相撲と寿司、浮世絵。すべてが日本の伝統でありながら、絵はがきの中の被写体はどれもが不思議と陳腐なのだ。

例えば、季節が感じられるような、はがきや便せんなどは、誕生日カードなどを置いている大きな文房具店に行けば売っているが、その辺の店では気軽に買うことができない。私が真剣に探していないから見つからないだけなのかもしれないが、コンビニエンスストアの文具のところに何枚かあっても良さそうなものだ。

先日、郵便局で「かもめ〜る」を10枚買った。足りなくなったので、買い足そうと思ったら売り切れである。それ以外は官製はがきしかない。これもまた妙に味気ない。何かの懸賞に応募するときならまだしも、個人的に使いたくなるようなものではない。しかもいまどき「官製」という名称がついているのも気に入らない。

もはや自分でつくった方が早そうだ。お礼専用のはがきを常備しておけば、適当な絵はがきがないと言って悩む必要もなくなるだろう。あるいは撮り溜めた写真を印刷して送るのも一案だ。これであれば個性も季節感も出せる。文句ばかり言ってないで、気に入った絵はがきを自分でつくってみようと急に思い立った。あとは実行に移すのみだ。

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