理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

絵手紙な日曜日 2010.09.05

昨年に引き続き、ある絵手紙作家の来年の暦をデザインをさせて頂くことになった。そう書くと格好良く聞こえるかもしれないのだが、実際は割付を考えているに過ぎない。でもそれはとても大切なことだ。だから、この作業をずっと始めようと思いつつも、実は今日までほとんど手つかずの状態だった。頭の中にはある程度の構想はあり、大きさなども含めた方向性についても多少は考えていたのだが、実作業は皆無に近かった。

今日はその打合せがあるので、午前中の早い時間に少し作業をした。昨年は、はがき大だったが、今年は少し大きくしたいということなので、A5版が良いと勝手に判断した。背景も深緑から濃い青色に変えてはどうかと思い、適当な色合いを探して印刷してみたら、それがとても良かったので、そのまま使うことにした。安直だが、こういったことは直感が大切だし、紙質や刷り上がりの状況でも違って来るから、色は参考程度だと考えておけば十分だ。

A5版に入れ込むのは、はがき大の絵手紙と2011年の暦である。最初は暦を上にして絵手紙を下に配置していたのだが、絵手紙は縦書きと横書きがあるし、暦の大きさをどの程度にするのかも考えないといけないので、何枚も出力して考えているうちに、暦はやはり下側が良いということになった。見慣れているからなのか、暦が上だと何となく落ち着かないのである。絵手紙の大きさも統一したいし、余白もある程度は残したいと考えながら作業を続けた。

不思議なもので、こういった作業は続けるうちに、デザインが徐々に締まって行く。30分ほど前に考えた案と見比べると、少し考えた新しい方が明らかに見栄えが良くなっているし、全体的な均衡も奇麗にまとまってくるのだ。たかが暦のデザインと侮(あなど)ってはいけない。A5版という大きさの中で、幅、高さ、間隔、余白、比率を考え、字体にも気を配る。どうすれば格好良く見えるかを少しでも考えることは、自分の感性と交感することでもある。

昨年つくった今年の暦もそれなりの出来映えだったと勝手に思っているのだが、いま作成中の来年の暦も、決して悪くはない仕上がりになりそうである。日々の生活の中で,こういった作業ができる機会を与えて頂いたことに対し素直に感謝したい。

加筆訂正:2010年9月9日(木)

« »