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還流独歩

建築と消費税 2010.11.23

住宅を買うにしても、家を建てる工事費にしても、消費税がかかる。中古住宅の場合、売主が不動産業者であれば、事業用商品とみなされるために消費税の対象となるが、売主が個人の場合には消費税はかからない。そういう例外はあるものの、住まいの購入や建設工事に消費税を支払わなければならないというのは、私の大いなる疑問である。

住宅や建築は不動産だ。しかも固定資産税の対象となるにもかかわらず、消費税の支払いが必要になるというのは一体どういうことなのだろう。私は法律や不動産の専門家ではないけれど、簡単に言えば、「家は消費する」ものと捉えられているからに違いない。つまり最も大きな耐久消費材として扱われているのである。

家を買うとき、あるいは建てるときに消費税を払わされて、しかも住み始めたら固定資産税がかかるというのは税金の二重取りの何ものでもないと思う。3000万円の5%は150万円である。立派な浴室がつくれる額だ。さらに減価償却によって、建物の価値は年々下がって行く。家と税金の関係は実に腑に落ちない。

そこに拍車をかけるのが住宅ローンである。消費税を取られ、固定資産税を払い、金利を支払い、完済したと思ったら住まいの価値がほとんどない状況になる。私は建築に携わっているものの、税金関連の専門家ではないので誤解して受取っている面が多々あると思うが、はたしてこのような状況で良いのだろうか。

銀行の方には甚だ失礼だが、建築の寿命を仮に30年間と捉えた場合、その間隔で家を建て直すことで最も潤うのは、建設業者ではなくて、銀行なのだと思う。何だか諸悪の根源のように決めつけているが、日本で家を長く使い続けることができないのは、建設業界にも大きな責任があるが、お金に絡むことも多いに関係しているに違いない。

一方的な考えで実に恐縮なのだが、建物の資産価値が年々下がることを一番喜んでいるのは銀行だったりするのかもしれない。そんな見方は間違っているだろうか。建築に絡むお金の動きについても、これからもっと真剣に向き合って行く必要があるのではないかと思っている。

加筆訂正:2010年12月29日(水)

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