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還流独歩

師走のドイツへ 2010.12.02

4時起床。2時間半の間に、出発の準備をしつつ、掃除も大雑把に済ませた。スカイライナーの時刻表を見ると、この夏に開通したスカイアクセス線ではなく、京成本線を通るシティライナーというのが1本あるのがわかった。新線を使ってすぐに成田に着くより、雑多な東京を通り抜けてみたくなったのだが、早朝は上野7時発の1本しかない。スカイアクセス線の料金が2400円なのに対し、京成本線経由は据え置きの1920円だから、480円の差がある。もし間に合うのなら、少し時間がかかっても料金が安い方を選ぶことにしよう。

そう言いつつも、上野で切符を買うときに、後発のスカイアクセス線経由にしようかと少しためらった。でも、こういうときは自分の気持ちに素直に従おう。上野を出ると朝日が眩しい。そういえばスカイツリーの高さが500mに達したというので、どこかに見えるのでははないかと思い、何気なく右側の窓に視線を移すと、かなり先の方に少し霞んだタワーが見えた。一番上で作業している人は、お昼ごはんとか、お手洗いなどはどうしているのだろうか。そんなことを考えてみた。船橋で7、8人程の乗車があり、3号車は全部で11人になったが、車内は実に静かである。

電車は遅れることなく成田に着いた。空港で待ち受けていたのは驚愕の値上げであった。いつも使っているシャワー室の利用金額が、500円から1000円に値上げされたのだ。入口の料金表の上に、シールが貼ってあるのは見えていたが、まさか倍の値上がりをしているとは思わなかった。値上げは昨日の12月1日からだという。値上げの代わりに、「水500ml」と「歯ブラシセット」、そして「ブラシ」と「チリ紙」の4点がもらえるが、どれも全然嬉しくない。受付の女性は、是非もらって下さいと言うのだが、何ももらわなかった。ごめんなさい。

飛行機は定刻に出発。今回も何の問題もなく正しいエコノミーである。隣りの二席は、この時期に相応しいドイツの降誕祭巡りを楽しみにしているという京都からのご夫妻だ。こういっては失礼なのかもしれないが、関西の方は乗りが良いので、初めてお会いしても会話が弾むのが嬉しい。私も取り立てて無理に話しがしたいわけではないが、長時間の移動には隣りの方との意思疎通が大切だったりするのである。ワインを何本か飲んでいたら、柿の種を頂いた。自分で買ったのより、美味しく感じたりする。実に有難いことである。

機内のアナウンスによると、フランクフルトの最高気温は氷点下5℃、最低気温は氷点下10℃だという。周囲の人もかなりの寒さが待っていることを認識しているのか、反応はいたって冷静である。いつものように長いと思いつつも、食事をしたり、仮眠を取ったりしていると、12時間近い移動はすぐに過ぎてしまう。かなり疲れていたのか、着陸前の二回目の食事が始まる前に深く眠ってしまったようで、気がついたら着陸態勢に入るところだった。こんなことは初めてである。喉が乾いたので、飲み物だけをもらった。飛行機は定刻よりも少し早く着いた。

機内から出た瞬間に、どれくらい寒いのかがわかった。フランクフルト空港の長距離新幹線駅で電車を15分くらい待っているときに、ついに寒さに耐えかねてしまい、肩掛け鞄に入れてあった冬物の上着を来た。今年1月の氷点下18℃までの冷たさはないが、それでも空気が痛い感じがする。ケルンに向かう新幹線に乗る。いつものように快適だ。毎回の移動時間は長いが、それほど苦にならない。確かに少し面倒にも感じるときもあるし、気持ちが落ち着かないことも多いけれど、移動しているときの不思議な心地良さというものが妙に好きだったりするのかもしれない。

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