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還流独歩

雪のち雨 2010.12.19

夜9時過ぎ、天窓をたたく音に気づいた。今日の午後に激しく降った雪が、夜になって急に雨に変わった。いつも思うのだが、ドイツの雪というのは実に締まりがない。気温は低いのに、堅い圧雪状態が続くことが少なく、北海道のように根雪になるというようなことがないのである。もちろん、南ドイツなど標高の高いところでは大きく違うのだろうとは思うが、北ドイツは北海を流れる暖流の影響を受けているから、雪が降ったとしても激しく積もることもなく、都市部では降っては融けてを繰り返す。だからその度に街中は泥だらけの状態になる。春先の北海道のようだ。

今日は降誕祭に向けての最後の日曜である。4本備えたろうそくの最後の1本に火を灯す日だ。昨日の夕方、少し晴れ間が見えて、冬の弱々しい太陽が顔を出したが、今日はまた一日中、曇天が続いた。そして夜中に雨。積もった雪は全部は融けてないけれども、中庭を見ると屋根の雪は少しだらしなくずり落ちて来ているのがわかる。窓を開けると雨だれの音が静かに響いている。日曜の静かな夜。今年一年を振り返るという程でもないが、暗闇にかすかに浮かび上がるケルン大聖堂を見ると、色々な想いが交錯して、何だか複雑な気持ちになる。

この時期になると、降誕祭のときはどうしているのかと、友人から温かい思いやりの連絡が来る。実に有難いことだ。あいにく今回は会う時間が取れず電話さえもできていない。キリスト教の降誕祭は仏教とは関係ないけれども、12月の長い夜が続くと、これまでたくさんの方々に支えられてきたことに感謝の気持ちを伝えたいと強く思う。にもかかわらず今年もまた何もできないまま年末を迎えようとしている。明日からはまた移動が続く。日本では忘年会など、仕事以外にも特に忙しくなるこの時期、皆さんも身体には十分にご留意下さい。

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