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還流独歩

新春湯巡り その4 2011.01.04

銭湯の話は今日もまだ続く。

年末に紹介した改修したばかりの銭湯にまた行った。恥ずかしながら、その印象は前回よりも少し違った。最初の評価を60点とすると、今回は75点である。いや80点以上をつけても良いかもしれない。実に失礼な話だが、私は素直にそう感じた。あれほど改修結果に対して熱い想いを語っていたのに、元旦からいくつかの銭湯を体験して来たら、自分の意見を翻すわけではないものの、気に入らない点も許せるかなと思えてきた。

お風呂は今日から男女が入れ替わる。これまでは男性が左側だったが、今週は右側だ。色の違う暖簾がかかっているので私は間違えなかったが、常連のお客さんらしき人がフロントにいた女性に「今週は男女が逆ですよ」と呼び止められているのが聞こえたりした。確かに間違えそうではある。こちらの浴室は明るめの内装が施されている。熱湯の他に、泡風呂や電気風呂なども備えられているから、いくつものお風呂を楽しむことができるのは反対側と同じだ。

でも実にしつこいのだが、やはり脱衣室が狭い。今日は混んでいるので、特にそう感じるのだろう。私は浴室から一番離れた奥のロッカーに衣類を入れた。手前はほとんど塞がっていたからだ。上がったときに出しづらいだろうと思っていたら、やはりそうなった。脱衣室に6人くらいいるだけで、私はロッカーにたどり着くことさえできない。小さい手ぬぐいで身体を拭きつつ、人が少なくなるのを待ったが、入って来る人もいて状況は変わらない。

馴染みのお客さんが数人程、狭いことを指摘している。滑り感の残る軟水装置のお陰で、水切り感が良くないという意見も一緒だ。それを聞いて、自分だけが変なことを闇雲に主張しているわけではないことがわかって少し安堵した。脱衣室の混雑は続く。仕方ないので、何人かをかき分けて、大きめのタオルが入ったロッカーを開けて、また浴室に近いところに戻った。常連さんが「これもそのうち慣れるかね」と言っている。きっと、そうなのかもしれない。

気になるところだけを指摘するだけで、良い点を評価しないというのは失礼だ。それはいろいろなことに当てはまるかもしれない。ものごとの判断だけでなく、人付き合いもしかり。では、そういう自分はどうだろう。自分がどう見られているかを気にすることはあまりないが、でも最近は謙虚さが足りなくなった来たかもしれないと、東京の夜空を眺めながら思ったりもするのであった。そう、今年は謙虚な気持を忘れずに行こう。

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