新春湯巡り その3 2011.01.03
一通りの作業を終えたあと、夜に月島方面へ出かけた。それほど遠くはないが、ゆっくり歩いて行くと30分程かかる。佃島の周辺は、大川端リバーシティに代表される高層マンションがいくつも建ち並び、窓からこぼれる光を見続けていると、現代文明の進化の凄さを感じるとともに、この繁栄がいつまで続くのかという疑問も沸いて来たりする。
その中でも佃大橋のたもとに位置する佃一丁目は、北側と東側を高層マンションに囲まれていて、何だか不思議な光景をつくり出している。それは下町の低層住宅群と、背後に迫る高層棟との高さの差が激し過ぎるからだろう。見下ろす側と見下ろされる側、見上げる側と見上げられる側が、この地域を形成している。
そんな地区にある銭湯を訪ねた。ただ残念なことに、お世辞にも奇麗とはいえない銭湯だった。すべてがおざなりで、もう少し整頓をした方が良いのではないかと思える脱衣室は、くつろぐというより、だらしないことの方がやけに目についた。すべてが中途半端に古く、早く着替えて出たくなる落ち着かな空間なのである。
それでもお湯は普通に出るし、浴槽は小さめとはいえ、身体を温めるには十分だ。シャワーも特に問題はない。ただ、水風呂らしき浴槽には水が張られていないので、経費の削減で止めてしまったのかと思ったら、奥にあるサウナが使えなくなっていた。試しに扉を引くと開いたので、少しだけ覗いたら、冷たくて暗かった。
昨年末から営業努力をしている銭湯をいくつか見て来ただけに、今日のお風呂屋さんは、それらとは実に対照的だった。おそらく私にはわからない苦労を抱えつつ日々の営業を続けているのだと思うが、銭湯には、やはりそれなりの清潔さや気持良さが求められるはずだ。それが感じられなかったのは残念である。
いま述べたようなことは、自分にも跳ね返ってくることなのだろうと思いつつ、銭湯をあとにしたのだった。