理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

ISH 2011/国際衛生空調展 その3 2011.03.21

別のホールへ行くと、暖炉が数多く展示されている。実際に火を燃やしているので、会場内はあまりにも暑く、早々に外に出る。少し冷たい外気が気持良い。時計を見ると11時半である。会場に入って2時間半が経過したものの、まだ正午前である。夕方まで、それほど時間はないものの、時折休まないと気力も続かない。

気を取り直し、この展示会で最も大きな規模を誇る会場に足を踏み入れる。ドイツは暖房が主体の国であり、日本のように冷房設備がある建物は大規模な事務所ビルか、あるいは商業施設に限られる。そういった面では、断熱や暖房設備の技術的な進化の方向は一方向的に見えるが、だからこそ暖房に関するドイツの人たちの関心は極めて高い。

特に、VIESSMANN、BUDERUS、JUNKERSといった市場を牽引する大企業の展示は、毎回のごとく大掛りで、非常に力が入っている。また来場する人たちも、係員の説明に懸命に耳を傾けている姿が印象的である。展示も、戸建てから数棟建て、あるいは大型の集合住宅規模に対応する設備がわかりやすく示されている。

その中でも注目を集めているのが太陽熱利用である。ドイツは太陽光発電にも力を入れているが、ここ10年程の間に、太陽熱を暖房にも利用できる技術が確立されたこともあって、現在、急速に普及し始めている。従来は、給湯のみに使用されることが多かった太陽熱利用は、暖房設備と融合させることで、その存在価値がさらに増している。

また、その制御方法も格段に進化し、普段使っているiPhoneやiPadなどから、機器の発停や室内の設定温度の調整といった遠隔操作だけでなく、監視などもすべて行える仕組みがすでに確立されている。ドイツの住宅では、大型の暖房設備が地下室に設けられていることが多いから、機器の操作が気軽に行えるというのは非常に重要なのである。

« »