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還流独歩

北海道人会 その2 2011.11.07

それらの話を聞くと、ドイツという国に来た理由が、本当に人それぞれで面白い。その詳しい理由まで話し始めると長くなるから、ごく簡単にしか聞けないが、デュッセルドルフで起業している女性もいれば、ドイツの大学を卒業し、こちらの会社に勤めている20代後半らしき女性も出席している。長年、お茶を教えている先生にもお会いした。

ハンガリー出身の妻がいる日本人男性は、ある会社に勤務以来、海外の転勤が続いており、会社に勤め始めた頃にドイツに赴任したあと、アジアの各国を歴任して、またドイツに戻ってきたという。そして、おそらくこの国で定年を迎えることになるのではないかとのことだった。日本に長く住んでいた奥様の日本語があまりにも奇麗で驚いたりもした。

国を越えて住むということは、なかなか大変なことである。ある企業に勤めている方であれば、少なくとも会社からの援助が受けられるので、それ以外の方に比べれば多少は恵まれているのかもしれないが、やはり海外赴任というのは、それなりの難しさがあると思う。その一方で、日本を離れてしまうと、逆に自分を開放させることができる気もする。

これまで私は、日本人の方には、できるだけ会わないようにしてきた。その必要性がまったくなかったからだ。ドイツで日本の方と会っても話すことが見つからない。数人寄れば、自分の知らない貴重な情報が得られることもあるが、大抵の場合、悪口や、ドイツの不便さを嘆くといった楽しくない話になることが多く、それに耐えられないのである。

でも、今回はそんな感じではなかった。北海道の人たちは、どこかしら開放的な面を持っているし、細かいことにはこだわらないことが多いから、私が嫌いな話になることもなく、むしろ日本の現状や将来を危惧する話題も多かったように思う。3月に起きた地震や原子力発電所の事故がなければ、おそらくそんなことはなかったはずだ。

私は日本とドイツを行き来しているから、いまの日本がどのような状況なのかは、ある程度は把握していると勝手に思っているが、参加された他の方が帰省する頻度は、年に一度とか、あるいは数年に一回のようだから、逆にとても気になるようだし、また何もできない歯痒さのようなものを感じているように見える。

ドイツに来て以来、こういった会に参加するのは私にとって初めてだったので、多少身構えていたところがあった。そして少なからず偏見も持っていたけれど、全員が同郷の人たちということもあってか、それほどの違和感は感じなかった。そして柔らかな雰囲気にも助けられたように思う。 食事も含めて、結局、4時間近くが瞬く間に過ぎて行った。

自分の意見を翻すわけではないが、こういったつながりは大切だから、今回、貴重な機会を頂けたことに感謝したい。でも、今度はいつ参加できるだろうか…。

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