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還流独歩

元上司の助言 2012.05.08

とある経緯から、急ぎの設備設計の仕事を頂いた。締切は今週の金曜日である。条件等が書かれた設計資料をそれなりに読みこなし、適切な計算書と見積が可能な図面を作成することは、作業的にはそれほど難しくはないものの、片手間で済ませられるような内容でもない。

こういうときに頼りになるのが、ちょっとしたことを質問できる人だ。いまの私にとって、その役割を引き受けてくれているのが、以前の上司である。そのときにいた組織を離れてから久しいのに、「お互い長い付き合いだから…」と言ってもらえるというのは実に有難いし、私にとって、こんなに心強いことはない。

設計とは気配りの一つだから、ありとあらゆることを考える。ただ、私からの質問の内容はそれほど難しくはない。むしろ単純だったりもする。それらは自分でも決められなくないけれど、要は判断基準が欲しいだけなのだ。設備設計に限らず、こういった作業は的確な判断が求められる。つまり、なぜそうしたかの理由を明確にしておきたいのある。

その上司は、この世界に入って長いから、その見極めが極めて早い。だから答えも単純で、選択肢がいくつかあれば、この方向ではないかと決めてくれるし、今日などは、何度か電話に出てもらえなかったあと、忙しい合間をぬって、折り返しの電話まで頂いた。電話を切ったあと、何だか目頭が熱くなって、しばらく作業が手につかなくなってしまった。

その上司には、会社にいたときも、そこから離れても、いろいろな相談に乗ってもらったし、いまも、何かあったときには、電話や手紙で報告させてもらっている。気がつけば、一緒に仕事をさせてもらってから、もう20年近くが過ぎた。今回、こうしてまた何度も電話し、その度に、助言してくれることに対し、心から感謝である。

今度、時間をつくって、御礼の挨拶に行かせてもらおう。
 
加筆訂正:2012年5月20日(日)

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