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夕方、大手町での打合せに出かける。ここは日本の中心と言える場所の一つかもしれない。いや、政治や行政を考えるなら霞ヶ関かもしれないし、あるいは地理的に見れば本州の真ん中当たりにある長野県だといえなくもない。

そんな議論は置いておいて、大手町や隣りの日本橋には、多くの銀行の本店が集中し、大企業の本社ビルがいくつも建ち並んでいる。いずれにしろ、日本の中枢のようなところだ。

その大手町に来るたび、ここで働いている人たちと、自分というものの存在をなぜか比較してしまう。でも、もはや世界が違うとでも言って良いのだから、そんなことを考えても、まったく意味などない。

一階には守衛の人が立っていて、立派なエレベータで受付へ行き、身だしなみの整った女性に迎えられ、いくつもある個室の一つに通されて、そこで打合せをする。何だか自分でも不思議な光景だ。

私にとって、この先、大手町という場所で勤務することなどあり得ないだろう。そう思いつつ、こんなところで勤めるということは、どういうことなのだろうと、地下鉄への帰り道に、そんな思いを巡らせてしまうのであった。