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還流独歩

深夜の足場設置 その1 2013.01.06

新年最初の日曜日も23時を回り、まもなく日付が変わる頃、どこからともなく、金属を激しく叩くような甲高い音が聞こえて来るようになった。うるさくはないのだが、耳に障るとでもいうのだろうか、どうも気になる音である。正月は明けたとはいえ、日曜のこんな夜中に、どこかで徹夜の工事をしているのだろうか。この通りに住んでいる人は多くはないとはいえ、まったくいないわけではない。

気になって仕方がないので、バルコニーから身を乗り出してみるが、どこかわからない。そうこうしているうちに日付が変わった。それでもまだ聞こえて来る。不思議なもので、こういった騒音というのは、一度、気になる始めると、神経に触ることが多い。そういえば、回収に出そうと思っていた空瓶があったので、それを出しに行くついでに何をしているのか確かめることにした。

上着を着込んで外に出て、瓶を回収容器に入れたあと、逆方向にあるT字路の角を曲がったら、そこには、高さが20m近くある足場が組まれている。普段なら何も驚かないが、こんな夜中に鉄骨の足場を組むとは、にわかには信じ難い光景だ。白い色を放つ投光器がいくつか並べられ、道も狭くなっている。ほとんど通る人などいないのに、警備員も一人立っているではないか。騒音は、ここから発生していたのだ。

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