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還流独歩

2階は1階 その5 2013.03.18

と、ここまで書いておいて、今更ながら、しつこく補足しておくと、ドイツの一般的な2階建ての戸建て住宅での階数表示は、1階は「地上階」だが、2階は日本語の「上階」にあたる「Obergeschoss/オーバーゲショース」と言い、大抵の場合、「OG/オーゲー」と略される。つまり2階建ては「地上階」と「上階」という表現となり、1階や2階という数字は出て来ない。これが合理的かどうかまでは判断できないが、納得できる言い方ではないかとは思う。

そして、また気がついたのだが、3階以上の場合、日本式の2階は「1. OG/エアステス・オーゲー」、3階は「2. OG/ツヴァイテス・オーゲー」となって、それぞれ、「上1階」「上2階」と表現される。地面から上の階は、当然、2階から始まるわけだから、そこを上の階の1階と考えて、「上階の1階」「上階の2階」と表現することは、理にかなっている気もする。ドイツの合理的な考えは、こんなところにも表れているのだろうか。

話はさらに脱線して、もし日本の階数表示が、ドイツや欧州のように、2階を1階と呼ぶようになったら、大混乱までは起きないにしても、多くの人が戸惑うことになるだろう。入居する最初の段階から「この建物は、地上階を0階と扱い、昇降機の表示も0とします」というのであれば、あとは慣れの問題になるということも考えられなくはないが、実際、「お宅はいままで5階でしたが、明日から4階になります」と言われたら、大抵の人が困惑することは想像に難くない。

ということで、この階数の呼び方については、ドイツでの生活を始めてから、ずっと気になっていたし、ドイツと日本を行き来するようになってからは、その違いに触れることが、より多くなった。それは日本式とドイツ式のどちらが正しいかを明らかにすることではなく、その違いの理由は何かを考えてみたかったのである。そうしたら、予想外にも、こんなに長くなってしまった。でも、少し納得できた気がするのである。

さらに最後に、フランス語で1階は「 rez-de-chaussée/レ・ドォ・ショセー」 という。ドイツ語も難しいが、フランス語も実に面倒な表現である。フランス語圏の方、お許し下さい。

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