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還流独歩

直通運転廃止 その2 2013.03.20

おそらくだけれど、東急東横線の渋谷駅には、あまり歴史を感じなかったからだと思う。学生の頃は頻繁に利用していたときのことを想い出しても、渋谷駅に愛着を感じたということはなかった。だから、東急の渋谷駅が廃止になると言われても、ほとんど実感が沸くことはない気がする。

でも、よく考えてみたら、日本中の駅の中で、なくなってしまうと残念とか、悲しいという気持になる駅は、果たしてあるだろうか。別に欧州に見られるような重厚で、歴史ある石造の駅を求めているわけではない。強いて挙げれば、改修された東京駅は別格としても、保存建築に該当するような駅は、ほとんど思いつかない気がする。

ともあれ、いろいろなものの動きが早くて激しい東京だから、あっという間に新しい駅ビルが建って、いままでの渋谷駅など、陰も形もなくなってしまうのであろう。それは躍動感のある東京の魅力の一つでもあり、また逆に捉えると、歴史という長い時間を携えた空間が、一気に失われて行くことを意味するのではないかと思うのである。

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