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還流独歩

新年度 その2 2013.04.02

では、卒業式は行なわれないかというと、学位授与式を行なう大学も多いようだから、それが卒業式だと言えなくもない。私も出席して修了証を受取った。特に建築学科は、卒業試験を指導した教授のいる研究室ごとに卒業パーティーをやったり、あるいは入学時期が同じだった仲間と卒業を祝うということは、ごく普通に見られる光景である。

ここで、何にも増して特筆すべきことは、卒業してから職を探す学生が大半だということだ。中には学生時代にアルバイトをしていた会社に、そのまま就職するということも実際にあるけれど、大抵の場合、学業を終えてから仕事を探し始めるのが、ごく一般的といって良いのではないかと思う。だから就職する日など決まってないし、入社式など行なう必要もない。

日本でも中途採用というのが一般的になりつつあるし、新年度から会社に勤める人だけではないはずだが、それでも「晴れて今日から社会人」というのが4月の恒例になっていることは確かであろう。それが良いとか悪いとかは分からないが、先日も書いたように、桜の季節に卒業や入学を迎えるというのは、素敵な慣習だとも思う。

それに対し、言い方は悪くなってしまうが、入学時ははともかくとして、自分で考えて、好きなときに卒業して、それから就職先を探して、同期といえる仲間がいないまま就職する機会の多いドイツでは、学んで仕事に就くまでの流れや環境が、日本とまったく異なっている。

どちらが正しいというわけではないが、日本の制度も、もう少し柔軟にする方が良いのではないかと、この時期になると思ったりするのである。

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