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還流独歩

昔の写真 2013.04.04

恩師の宿谷先生が、5月で還暦を迎えるというので、お祝いの会を開くという連絡が数日前に来た。贈る言葉のほかに、想い出の写真も添付したいという。朝、少し早めに起きて、本棚に入れっ放しになっている写真を久しぶりに取出してみた。5枚組のアルバムが10冊以上もある。手に取って中を見たのは、一体いつ以来だろう。少なくとも6、7年くらいは目にしていない写真ばかりだ。いや10年振りくらいかもしれない。

こういう昔の写真というのは、見始めない方が良いとわかっているのだが、宿谷研究室にいたときの3年間に撮った写真が、どのアルバムに入っているのか探してみようという軽い気持で、まずは一冊目に手をつけてしまった。そこには、遠い過去の自分や友人が写っている。昔の自分との対面だ。あたり前のことだが、写真の中の自分はとてつもなく若い。ふざけて撮った写真は恥ずかしくもあり、懐かしくもある。

時間がないので、数冊だけ見て出かけた。昨日とは打って変わって、気持よく広がっている青空を見上げながら、いつの間にか、相当な時間が経っていることを改めて感じた。それと同時に、昔の写真は見ないことにこしたことはないとも思った。恩師に贈る記念の写真を探してみようとは思うが、何だか探したくないもう一人の自分がいたりするのである。なぜなのだろう。その中に写る昔の自分と、いまの自分を比較してしまうからだろうか。そんな面がないとはいえないかもしれない。

過去の写真を見るのは、面白くもあり、また逆に意外と辛い面を持っている気がするのである。

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