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還流独歩

丸と楕円と四角 その1 2010.08.26

絵はがき、出窓と続いて、今日は形についてである。実は書き始めるまで、こんなに長くなるとは思ってもいなかった…。

私は楕円形があまり好きではない。楕円そのものの存在は認めるが、広告やポスターの中に描かれているものや、家電機器のスイッチ、あるいは自動販売機のボタンなどに楕円を見つけると、なぜ楕円でなければならないのか、その理由を激しく問いつめてみたいという衝動に駆られるのである。

日本では、いたるところで楕円形が使われていると私は思う。でも楕円形が悪いのではない。楕円形を使うことで、デザイン力のなさをごまかそうとする姿勢を何となく感じるからだ。あるいは、丸や四角は使ってしまったので、残りは楕円でも入れておこうかという安直な考えが裏にあるのではないかと勘ぐってしまったりする。

特に思うのは、主に世の中の一般女性が使う頻度が高いと思われる家電製品に、丸や楕円状のスイッチが多用されていることである。電子レンジ、洗濯機など、押ボタンが丸や楕円形状のものが実に多い。楕円は女性向きなのだろうか。あるいは女性的形状なのだろうか、女性は丸が好きなのか、私は楕円を見るといつもそんなことを考える。

何のことはない、私は丸よりも四角が好きなのだと思う。もちろん丸くなくてはいけないものはたくさんある。たとえば小銭。これが四角だったら大変だ。だから丸でなければならないものまで否定しているわけではない。ただ、楕円となると、私にとっては中途半端な感じが否めない。

そこでふと、手元にある電気製品を見てみた。私の手元には30年近く前に買ったラジカセがある。ラジカセなんて、もう言わないのかもしれないが、それが一番わかりやすいと思う。そう、1970年代はラジカセの世代だった。高校生のとき、アルバイトをして溜めたお金で買った想い出のラジカセが、まだここに一台残っている。

ここへ来て話は激しく脱線する。私がどうしても欲しかったのが、パイオニアが出していたランナウェイのSKシリーズだ。その最上機種がSK−900で、定価で107,000円もした。私は電気店にかけあって9万円にしてもらった。高校生にとっての9万円のラジカセは、とてつもなく大きな買物だった。いやいまだって、そんな額は簡単には出せないのだが…。

その2へ続きます。

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