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還流独歩

来客 その1 2009.09.06

ドイツ出身で、数年前からデルフト工科大学で准教授を務める友人が東京に来る。彼を乗せた飛行機は定刻よりも30分近く早く着いたことをウェブで確認し安心したが、携帯電話が使えないときには、公衆電話から電話するという約束だったにもかかわらず、連絡が一向に来ない。成田空港まで出迎えに行くほどの時間的な余裕はなかったから、上野で合流することにしてあった。連絡の取りようがないので、事務所で作業を続ける。

友人はいろんな国に出かけているし、大阪にも3か月ほど滞在した経験があるから、特に心配していなかったが、あまりに連絡がないので宿泊予定のホテルに電話したら、いま到着したばかりだという。部屋につないでもらうと、山手線に乗りついで、地図を見ながらホテルまで一人で来たそうだ。電話を待っていたことを伝えると、何となくはぐらかされたが、そんなことは気にもならないつきあいだ。

夕方、ホテルへ迎えに行き、まずは浅草へ向かった。日曜の夕方は観光客も少ない。居酒屋で麦酒を軽く飲み、少しお腹を満たしてから、銀座へ向かう。京橋で下りて、銀座一丁目から八丁目まで、碁盤の目を縫うように歩き回る。特に幅の狭いビルがお気に入りらしい。最後は七丁目のライオンに行く。他の店も考えたけれど、定番ということにしておく。

日本にいて、ドイツ語を話せる機会があるというのは、本当に貴重なことだと思う。しかも、何の気兼ねも要らない友人と、ドイツ語を話しながらの東京散策ができることを素直に喜びたい。今年に入り、デン・ハーグで家を購入したというから、次回はオランダで会うことになるかもしれない。少し心配した再会だったけれど、とても楽しい時間を過ごすことができた。

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