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整理整頓 2009.09.21

今日は昨日の続きである。ドイツでの生活の中で感じることは、彼らの整理整頓の能力の高さである。不意に訪れたお宅でも、家の中は奇麗に整頓されていることが多いし、職場でも執務机が書類に埋もれいているということはほとんどない。家や職場にかかわらず、どこへ行っても整然と片付けられているのを見ると、彼らの奇麗好きには本当に感心する。

もちろん日本の人も奇麗好きだ。しかし、それはどちらかというと「清潔さ」の方に重きがあるだけで、身の回りの片付けについては非常に不得手の人が多いのではないだろうか。不潔ではないものの、奇麗に整頓されている家や職場を見つけ出すのは、かなり難しいように思う。ドイツにおいては、家でも職場でも、片付いていないところは逆にとても少ないと思う。

例えば、収納場所という面では、確かに日本よりもドイツの方が広く確保できるとは思うが、整理整頓の能力は、どうも広さとは関係がない気がする。むしろ片付けができない人に限って、収納は広い方が良いという。逆に言えば、広い収納があれば片付けられるのだろうか。多分、そうではないと思う。

世の中には整理整頓術に関する書物が溢れている。それだけ片付けができない人が多いのだと思う。では、ドイツの人たちの片付け能力の高さは一体どこから来るのだろうか。一方、片付けられない原因は何なのだろう。子供のときからの躾の問題だと決めつけるのは安易かもしれないが、やはりそれが大きく関係しているのかもしれない。

日本の家には、たくさんのものが溢れている。もちろん必要はものもたくさんあるだろう。でも、要らないものを捨てて、空間を広く使えた方がきっと気持ちが良いのではないかと思う。

余談だが、沢野ひとしが書いた漫画の中に、いろんなものを片付けるのが好きな男が出ていたのを想い出す。何もなくなったマンションの一室に布団を敷いて寝ているその男が大きく伸びをしながら一言つぶやく。「妻も子も去った。これですっきり」。

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