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還流独歩

講師研修 その3 2009.09.24

今日は講師研修の最終回である。10分間のプレゼンテーションを、講師を専門とする人たちに見てもらい、講評をもらうというものである。しかも発表の様子をDVDに納めて、後日送ってくれるという。これまでも何度かこういった講習は受けてきたが、その中でも今日は一番辛い。楽しもうという気持ちを先行させたいのに、それができない自分。

その理由は簡単だ。話す内容が、いま一つ自分でも納得が行かないからである。全体の流れも詰め切れてないし、練習不足も否めない。その時間を十分に取りたいのだが、なかなかできないものである。まずは発表の流れを書き出すことにした。プロの講師でも、最初は一字一句書き出すことが多いという。そして何度も練習するそうだ。

こういった作業を夜にするのは辛いので、夕べは少し早めに休んで、思い切って朝から始めることにした。4時に起きるつもりが、5時を過ぎた。書き出した流れを少し具体化するが、時間がないので、練習を始めることにする。最初は言いたいことが散漫になってしまい、時間だけが過ぎて行く。

半分くらい話したところで、既に10分が経過すると、通しでの練習に嫌気がさす。まずは前半と思える範囲を5分以内で終わらせるように練習する。そうすると、言いたいことだけが徐々に明確になって行く。練習を10回くらい繰り返したところで本番に向かう。

七名の参加者の中で、順番が最初の方に当たるといいなあと思いつつ、くじを引くと一番手になった。望むところである。発表の細かなことをここで書いても仕方がないので、結論から話すと、今回も不完全燃焼だった。自分でも良い感じにまとめられたと思ったところもあるけれど、やっぱり最後の詰めが甘かった。

特に、ある講師から「つまらないし、それじゃあ人は集まらない」と言われたことは、いろんな意味で重く受け止めざるを得なかった。私が話したのは建築の専門的なことである。それをできるだけ一般の人にもわかりやすく、そして面白く伝えるよう努力をしたつもりだったが、それをわざわざ人が聞きに来てくれるかというと、あまりにも弱い内容だったことは事実だ。

他の受講生も、それぞれの専門分野がある。それを説明する難しさは一緒だ。難しいことを優しく、そしてわかりやすく伝えることはもちろんだが、さらに聞き手の気持ちをしっかりと掴んで、もっと聞きたい、もっと知りたいと思わせる講師が、上手な講師であり、そうならないといけないのだ。

この先、講師を専業にすることはないと思うけれども、建築とは違う分野に触れ、人前で話すときの「カタ」と呼ばれるものを覚え、それらを自分なりに昇華させて、人とは違う世界を築いて行けば良いのだと思う。それができるかどうかわからないけれども、本当に勉強になった4日間だった。

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