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還流独歩

木造建築の話 2009.11.13

11時から、ジャパンホームショーで開催されている一連のセミナーにおいて、フライブルク在住の池田さんと一緒に「ドイツの建築分野で進む木材利用」について話をする機会を頂いた。この企画は、江真コンサルティングの江鳩さんの計らいと、主催の日本能率協会さんから多大なる協力を得て実現したものである。この場を借りて、改めて厚くお礼申し上げます。

今回、私が話した内容は「ドイツの現代木造建築と低燃費社会の構築」である。私は木の専門家ではないし、木造建築にも詳しいわけではないが、ドイツでたくさん見てきた建築の中に、木が使われている事例がたくさんある。日本のように、完全に木造というのもあれば、構造材や内外装、あるいは窓に使われている場合も多く、それらを簡単に分類して紹介させて頂いた。

ドイツでは中世時代には木造が多かったが、火災などの問題から一階部分を石造にする家屋が増え、いまではその大半が組積造である。その一方で、木の良さが見直されてきており、新築における木造建築の比率は、20%近くまで増えて来ている。その比率はまだまだ低いが、断熱材を構造内に充填できるなど、高断熱化への対応が比較的容易であることから、木造建築は今後も増加すると見られている。

それと併せて、最近言い続けている低燃費建築についても触れた。いま二酸化炭素の排出削減が大きく取り沙汰されているが、私は化石燃料への依存の方も大きな問題だと思っている。その消費を減らすことができれば、二酸化炭素の排出量は自動的に減ると考えているからだ。二酸化炭素排出の問題は、化石燃料の消費の問題と併せて考えるべきではないかと思う。

誰もが知っているように、私が子供の頃、30年後には石油が枯渇すると言われていた。でもいまは、その話題は取り沙汰されず、二酸化炭素の排出量を減らすことに躍起になっている。それは大切なことだと思うけれども、エネルギーを使ったあとに発生する二酸化炭素だけに着目するのは、何か本質からずれているようにも感じられるのである。

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