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還流独歩

半信半疑の占いと打上げ花火 2009.12.31

昨日から傘が要らない中途半端な小雨が降り続いている。昨日はかなり暖かく感じられたが、今日は意外と気温が下がっているようだ。昼前にいつものスーパーへ行こうと家の扉を開けると、友人のお父さんが鍵を開けて入ってくるところだった。私が不在にしている間に、部屋の観葉植物に水をあげて欲しいと頼んでいたのだが、友人家族が休暇に出かけてしまったので、お父さんが代わりに来てくれたのだ。私がケルンにいることは知らなかったとのことだが、その気遣いに感謝する。

一緒にスーパーに行くと、今日はいつになく人が多い。新年の休日は明日の元旦だけだから、明後日の1月2日(土)にはスーパーは開いているにもかかわらず、大量の食材を買う人で店内は溢れ返っている。土曜日にゆっくり休もうとする人にとっては、3連休になるから、まとめ買いをしているのだろう。私も特に何か必要だというわけではないのだが、何となく買い物を済ませないと落ち着かないから不思議だ。

19時過ぎ、以前、共同生活をしていた友人宅にお邪魔する。ケルンにいるなら新年を一緒に迎えようと誘ってくれたのである。彼には8歳になる男の子がいて、他にも友人の男女が2名加わっている。彼らが用意してくれた大晦日の夕食には手の込んだ料理は並んではいないが、チーズや野菜を中心にいろいろ準備してくれている。

食事が終わってしばらくしてから、友人の彼女がタロット占いをしてくれるという。私は占いにはほとんど興味はないけれど、占ってくれるというのだから、快くお願いするしかないだろう。最初は、元同居人の友人である。彼は廃棄物に関する分野が専門で、自宅でコンサルタントのような仕事をしている。

60枚のカードを机に並べて、その中から10枚を引く。1枚目から10枚目まで、引いた順に現在や過去、友人関係、近い将来、遠い将来といった意味が占えるらしい。こういった私はあまり信じてはいないが、彼が引いたカードの意味を言われると、確かに彼の現状に近いことが示されている。既に暗示にかかってしまっているのかもしれない。

次は私の番だ。既にビールを飲んでいるので、占ってもらうには甚だ失礼なのだが、気軽な気持ちで10枚のカードを引く。驚くべきことに、10枚のうち、9枚が比較的良い内容のものだった。聖杯から水が溢れている絵とか、馬に股がった騎士とか、獅子のような動物に乗った女神とか、稲光で囲まれたトロフィーのような派手な絵ばかり出てきた。

説明は全部ドイツ語だし、一枚ごとにたくさん意味が含まれているから全部は覚えていないのだが、何だかみんな良い感じで、全体を要約すると、困難があっても突き進めば道は開けるといった内容だった。しかも遠い将来を示す最後の一枚の意味は「享楽」である。適当に引いたにしては良過ぎる結果となったので、2010年も何とか生きて行けそうな気がしきた(単純)。

それにしても不思議なのは、男性3名が引いたカードが全然違うことである。一番先に占ってもらった友人が引いたカードと、私が引いたカードは一枚も重複することがなかったし、3人目の彼も私とは違うカードが大半だった。こういった占いを信じるかどうかは別として、素直に面白いなあと思う。

年が変わるまで1時間半ほどあったので、今度は友人の子供と一緒に「誰がどこで誰と何をした」という遊びをした。子供の頃、同じことをした記憶が誰にでもあるだろう。ドイツ語は動詞が2番目に来るから、「誰と誰が何と何をした、それはどこ」という順になる。5人が1項目ずつ書いて次の人に回し、全部埋まったら発表という単純な遊びだけれど、大爆笑する結果がいくつか出て可笑しかった。

23時半にロケット花火とスパークリングワインを持ってライン川へ行く。それほど寒くはないが小雪が舞っている。以前は人が一番集まる橋の上に行って新年を祝っていたが、人が多過ぎるのと橋の上はとても寒いので、今日は一番近いライン川沿いに来た。たくさんの花火が既に打ち上がっている。ビールをケースごと運んでいる若者もいて、ちょっとしたお祭り騒ぎだ。

周りの人たちがカウントダウンを始めると同時に、遠くから汽笛が聞こえて来た。打ち上げられる花火が暗闇に吸い込まれてはじけるのと同じように2009年が瞬く間に終わり、日本から遅れること8時間後にドイツも2010年を迎えた。

加筆訂正:2010年7月6日(火)

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