同期の個展 − 奥村俊道の世界 2010.02.27
母校の建築学科からメールで定期通信が流れて来た。卒業生が銀座で日本画の個展を開くという。知らない人だろうと思って斜め読みをしたら、卒業年が近かったので、名前にふと目が留まった。学生の頃、画家になりたいと言っていた同期だった。卒業以来だから、ほぼ20年振りになるだろうか。
せっかくの機会なので、午後、個展に行った。最初は私のことを誰かわからなかったようだが、名前を言ったら想い出してくれた。学生のときは研究室が違っていたので、それほど頻繁に会っていたわけではないが、それでも何度か飲みに行き、いろんな議論をした記憶がある。でも、そのときに話したことなどもう覚えていない。
彼は東京芸大の大学院に進学し、日本画を勉強した。祖父が日本画の画家だったことも影響しているらしい。卒業儀、日本の伝統的建築の補修に関する仕事に就き、5年ほど前から本格的に絵を描き始めたとのことである。作品を見せてもらうと、日本画を修めた経験から、私がとやかく言う域を遥かに超えた立派な芸術作品に仕上がっている。
本当に久しぶりに会うので、互いに知ることのない時間を一気に埋めることはできなかったけれど、彼なりに試行錯誤と努力を続けて来たことは何となく感じられた。そして、大学の同期が、また違った分野で自己を確立しつつあるのを見て勇気づけられたし、それは素直に嬉しいことでもあった。彼の絵を買えるほどの財力はないから、8作品を納めた葉書集を頂いてギャラリーをあとにした。
現在は熊本に在住とのことだから、会う機会は滅多にはないと思うが、自然に恵まれた環境で、これからも素敵な絵を描き続けて欲しいと思っている。
日本建築から日本画への展開 奥村俊道の世界