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還流独歩

久しぶりの同期会 2010.03.06

10年以上も前に退職した会社の同期から連絡があり、三月末で会社を辞める同期が一人いるので、歓送会も兼ねて久しぶりに集まろうということになった。同期は14名しかいないから、連絡も取りやすいとはいえ、本当に有難いことである。少しためらう気持ちもあったが、悩んだら行動に移すことが多い私は参加させてもらうことにした。

以前の勤め先には、数年に一度の割合で挨拶に行っているから、そのときに少しだけ会った同期は何人かいるけれど、私の退職以来、顔を合わせる機会のなかった同期も多い。また私と同じように会社を離れたのも何人かいるから、会えるとすれば、10年振りくらいになる同期もいる。

集まったのは、私を除いて6人だった。入社から17年が経ったけれど、誰もが当時とほとんど変わらない。少し太った奴も、白髪が若干増えている奴も、話せば初めて会った頃のままだ。同期の14人のうち、意匠設計が10名、設備設計が3名、構造が1名だった。私は設備設計に入ったこともあって、意匠設計の同期とは何となく気持ちの隔たりを感じていたし、実はいまもそんな感じが少しある。

それは意匠設計とか設備設計の違いではなく、もともと私は会社の人と必要以上に交わらなかったことが原因だと思う。勤めていた事務所は、この業界ではそれほど小さくはない組織だし、私は取り立てて会社に不満があったわけではなかった。むしろ自信のない自分に対する不満の方が強かったので、同期を含めて、会社の人に自分をさらけ出すほどの付き合いはほとんどしなかった。

それでも同期というのは有難い存在だと思う。上下関係に縛られることなく対等に話ができることの大切さを、私は会社にいるときには感じていなかったと思う。6、7年前に退職した同期が、会社を離れてから、かつての上司が自分のことを考えてくれていたであろう、ということが、いまになってようやくわかった気がすると言っていた。私も同感である。自分のことを気にかけてくれればこそ、それが逆に煩わしく感じていたのかもしれない。有難いことなのに、多分、気持ちの余裕がなかったのだろう。

最初に入った会社というのは、その後の人生の価値感や考え方に大きな影響を与えると私は思う。いまでもそのときにしていた仕事のことを夢に見るくらいだから、褒められたことも叱られたことも、自分の身体のどこかに残っているのだろう。同期と楽しく飲みながら、気がつけば、そんな回想録に浸っている自分がいた。

男が7人も集まれば、酒の量に比例して、真面目な話は少なくなり、それ以外のネタが多くなる。後半は爆笑する話が何度も飛び出したりして、3時間近い集いはあっという間に過ぎて行った。相変わらず何となく自分を完全にはさらけ出せない私だったけれど、同期に会えて、そのつながりの大切さを感じながら帰って来た。有難う。また会える日を楽しみにしています。

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