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還流独歩

身体を拭かない人 2010.03.20

プールや銭湯に行ったとき私が許せないと感じることの一つが、濡れた身体を拭かずに、そのまま脱衣場に上がる人を見かけたときである。水滴を床に撒き散らし、しっかりと水の足跡もつけてロッカーへ行くという行為は、私には理解できない。そんな人はそれほど多くはないけれど、これまでの経験から大雑把に言うと、その割合は12人に1人くらいだろう。

私だって、上がる前に身体を完全に乾かすことはできないけれど、できるだけ奇麗に拭き取って、少なくとも床には身体からの水滴が落ちないように気をつけている。その一方で、床を濡らしても何ら平気な人がいる。私が泳ぎに行くプールには、床拭き用のモップが用意されているので、濡れたらそれで拭けば良いのだが、床を濡らすという行為そのものが私には許せないのだ。

靴下を履いた状態で濡れた床を踏んでしまったときの足裏に感じる何とも言えない憎悪感は、やり場のない小さな怒りへと瞬時に変わる。だから最近では、脱衣場に入ったときに床が濡れていないか気をつけているし、逆に出るときも、床が絶対に濡れていないのを確かめてから靴下を履くようにしている。

身体を濡らしたまま上がって来る人に対し、「床が濡れるので、身体を拭いてから上がってもらえませんか」と声を大にして言いたいのだが、そんなことは、ほとんど言えない私。でも、プールで良く見かける若い男性が、他の人が濡らした床を少し苛ついた表情をしつつ、率先して拭いているのを見ると、やっぱり私と同じ気持ちなのだと思って安堵する。

プールにも銭湯にも、してはいけない但し書きがたくさんある。その中に「脱衣場には身体を良く拭いてから上がりましょう」と書かれているのだから、濡れた身体のまま脱衣場に戻る人を即座に感知して、厳しい警告を与えるような装置を導入して欲しいとさえ思うほど、床を濡らしても平気な人のことがとても気になってしまうのである。

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