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還流独歩

軟水と硬水 2010.05.19

日本の水は軟水で、欧州の水はたいてい硬水らしい。その違いは何かと訊かれても、私は明確には答えられないのだが、硬水の方がカルキ分が多いのだと思う。では私たちの身体にとって、軟水と硬水にはどのような差があるのだろうか。私はドイツに来たときにそれを体験したのだ。

その違いが感じられるのは、石鹸で髪を洗ったときである。普通の人はシャンプーとリンスを使っていると思うが、私は日本にいるときから、身体も髪もなるべく石鹸で洗うようにしている。ボディーシャンプーもたまには使うが、何となく流し切れないような、滑り感が残るような感じがあまり好きではないのである。

話は戻って、髪を洗うときに、普段からシャンプーとリンスを使っている人が、たまに石鹸だけで洗うと、おそらく髪は指が通らないくらい硬直するはずだ。もちろん私もそんな経験をした一人である。でも、ずっと石鹸で髪を洗っていると、洗った後のゴワゴワ感が次第になくなって行く。髪が石鹸に慣れるというのだろうか。

いや、語弊のないように言うと、シャンプーを使う方が髪は確かに滑らかになる。それは石鹸で洗ったときには感じられない軟らかさだ。でも何となくだけれど、石鹸で洗った方が、髪自体が持つ活力を蘇らせるような気がするのである。シャンプーが髪に弊害を及ぼすのかどうか私は知らないけれど、石鹸も悪くないと思っている。

前置きが異常に長くなったが、ドイツに来たての頃、日本と同じように石鹸で髪を洗ったら、日本で体験した以上に、髪が硬くなったのだ。洗った後は、どんな髪型にでもできそうなくらい、髪同士の絡み方が半端ではなかった。池中弦太80キロの寝起きの髪型にできそうなくらいである。まさに硬水は髪を硬くするということがわかった。

それはともかく、それでも石鹸だけで洗い続けていると、次第に髪が慣れてくるようだ。そして、いまはドイツでも日本でも初めの頃に体験したような硬直状態にはならなくなった。実に不思議である。洗濯用の洗剤と同じで、シャンプーの宣伝も数多く見かけるけれど、髪のことを本当に考えるなら、石鹸も悪くないように思うのである。

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