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還流独歩

英語圏からの逃避 2010.05.21

いろいろな国の人と意思の伝達を行うことができる英語は偉大な言語だと私は思う。でも正直なところ、英語はあまり好きではない。ドイツに来たのも多少の偶然があったにせよ、そもそも英語圏には行くつもりはなかった。その理由を話し始めると長くなるので、簡単に言うと、英語圏に行くことは私にとって何だか安易な選択に感じたからだ。

英語圏に住む人、英語を懸命に勉強している人、英語を上手に話したくても、思うように話せない人など、たくさんいると思う。その人たちに対し、私が英語圏が安易などと言うのは極めて失礼なことだ。でも、それを承知の上で言わせて頂くと、私の頭の中には、アメリカとイギリスは最初から入っていなかった。

それらのどの国も素敵に違いない。でも行きたいと思わなかった。どうしてだろう。英語だけを話していると、それが当たり前になってしまって、英語を話すだけでは見えて来ない何か別のものを、他の言語から感じ取ることも大切ではないかと私は感じたからだ。それが正しいかどうかなど私にははわからない。ただそれだけは曲げたくなかった。

もちろん、私も英語を流暢に話せるようになりたいと思ったし、いまも出来ればそうありたいと願っているけれど、英語「だけ」を学ぶと、他の価値観を排除してしまうようになるのではないかと思える。英語を否定しているのではない。ただ英語だけを話していると、英語ではない言語を話す他の世界が見えて来ない気がするのだ。

世界中にはたくさんの言語がある。でも、英語以外の言葉を話す人たちと意思の疎通を行うには英語が必須だ。英語を流暢に話せる人同士であれば、細やかな意思の疎通ができるに違いない。それはわかっている。でも英語だけが世界の言語ではない。

ドイツ語を話したからって、別に偉くもないし、他の言語のすべてがわかるはずもないけれど、英語以外の言語をたくさん話せたら、きっと世界感が変わるのではないかと思っている。

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