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還流独歩

カーテンを閉めない人たち 2010.06.18

先月の5月30日と31日の二日間、中庭について触れたとき、最近のドイツの人は外から見られることにあまり抵抗を感じないと書いた。特に若い世代の人たちはカーテンを閉めない。一階に住む人で、通りから見られやすい部屋とか、あるいは寝室などにはカーテンをかけるけれど、普段、生活する居間などは、夜になってもカーテンを閉めない人がとても多い。

以前、ドイツの友人たちと一緒に住んでいた住居の台所からも、中庭を挟んだ反対側の家の中がよく見えていた。距離にして僅か15mほどである。そのお宅は、夜になっても居間のカーテンは一切閉めない人だった。テレビだって何を見ているかさえわかる。それでも構わないらしい。そこまで潔いと、何気に見てしまう自分の方が罪悪感を受けてしまうから不思議だ。

この家族は珍しいわけではない。そんなお宅はたくさんあるし、オランダの人も同じ傾向があるだろう。こんなカーテンを閉めない人たちが日本で同じように生活したら、逆に近隣から「あのお宅はなぜカーテンを閉めないんだ」という苦情が出るかもしれない。でも、カーテンをしている人は外が見えないから、そんなことをいう人は、人の生活を覗いていることになる。

家の反対側には大きな公園があったり、超高層のマンションで、絶対に外から見られることのないという恵まれた環境に住む人にとっては、カーテンは不要かもしれないけれど、夜にしっかりと閉められたカーテンを見ると、日本とドイツの大きな習慣の違いを感じるのである。

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