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還流独歩

素朴な疑問 2010.06.24

以前からずっと考えていることがある。いま、世の中の人たちは、日々の生活から排出される二酸化炭素を削減しましょうと言っている。そして、一人一人の協力によって、地球規模の気候変動などを最小限に抑えようとしている。

その一方で、例えば全国の観光地は、もっとたくさんの人に来てもらいたいと考えている。いや世界中の観光地で、訪れる人は減った方が良いと考えているところは、自然保護を再優先するような場所以外、皆無だろう。

物流の世界では、もっと便利にするために輸送力を高めようとしている。自動車の生産台数は減少傾向にあるようだが、それでも数えきれないくらいの車が走っている。車に頼らない社会が一番良いのではないかと思うのだけれど。

人間の営みの根源は、物を動かして、何かをつくること、あるいは逆に、何かをつくって、それをどこかに運ぶことである。いまは、そのどちらの過程にも化石燃料が欠かせない。

4月にアイスランドの火山が爆破して、空路による人と物資の動きがまったくなくなったとき、このままの状態が続けば、欧州を中心とした経済は破綻してしまうと思った。

でもそれと同時に、人やものがある地域の中でしか動かない社会があるとすれば、それが一番良かったりするのかもしれないと思ったりもした。

日本全国の美味しい物をいち早く新鮮な状態で食べられることは素晴らしいと思うし、これからますます求められて行くとは思うけれど、一番最初に書いたことを真剣に考えたら、この先、どんな風に生活をすれば良いのだろう。

日々の生活のどこかで、地球規模の話を聞くと、いつもそんなことが気になると同時に、やっぱり何だか腑に落ちない疑問を感じてしまうのである。

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