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還流独歩

傘のさし方と思考回路 2010.07.14

日本の人は、雨が少しでも降ってくると、すぐに傘をさす傾向にあると思う。傘がなくてもそれほど濡れないような雨でも、少しぱらついてきただけで傘を開く人が実に多い。一方、ドイツの人は少々の雨では傘はささず、濡れながら歩いている人の方が目につく。この違いは何なのだろう。

日本とドイツでは、雨の降り方が少し違うということはあるだろう。というのは、日本は傘をささないと本当に濡れてしまうような雨が多く、逆にドイツは傘がなくても何とかしのげるような降り方が少なくない気もするからだ。いや、もちろんドイツだって傘が必要な雨は降るから、問題は降り始めたときに、どう対応するかということなのだろう。

私の独断と偏見を承知の上で改めて結論づけると、日本の人は、雨が降り始めたらすぐに傘をさすのに対して、ドイツの人は本当に傘が必要になったら開くということだと思う。私はどちらが正しくて、どちらが間違いと決めつけたいのではない。そして、この傘のさし方の違いは、ものごとの思考方法を示しているような気がするからだ。

日本の人は、前もって対処することに重きを置くのに対し、ドイツの人は、状況を見てどうすべきなのかを判断する。良く言えば、日本の人は予防が大事で、ドイツの人は変化に合わせて必要な処置を行う。逆に悪くいえば、日本の人は過剰反応であり、ドイツの人はその場しのぎの対処療法ということになるだろうか。

自分で書いておいて甚だ僭越なのだが、これは両国間の違いの一つを明確に説明しているように思う。あれもこれも気にかけて、不安を和らげるために最善を尽くしておくのが日本的思考とするなら、最低限の準備はしておきつつも、どうすべきかは状況が明確になってから適切な対策を施すというのがドイツ的な考えなのかもしれない。

無論、この考えがすべてにあてはまるわけではないだろう。でも、少し一方的な見方かもしれないが、日本とドイツの違いについて、いつも想いを巡らしている私は、そんなことを日々考えたりしている。

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