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還流独歩

原文と掲載文の比較 その2 2010.07.18

その1からの続きです。

原文と掲載文をそれぞれ別に並べると比較するのが難しいので、段落ごとに並べて比べたいと思う。なお、《変更点》に示した内容は、以下の通りです。

原文>掲載文:加筆訂正内容/私の見解等。

 
■標題
お金を払って住宅見学>お金をはらって、こだわり見学

 
■1段落目
<原文>
住宅や建築に対する関心が比較的高い人が多いといわれるドイツには、大きな住宅展示場が全国に4か所ある。逆にいうと、日本の面積とほぼ同じ国土の中に、わずか4つしかない。これらの展示場は、いずれも同じ組織が運営しているのだが、日本全国には住宅展示場と呼べる施設が200か所以上あることを考えると、その数はあまりにも少ない。

<掲載文>
住宅や建築に対する関心が高いといわれるドイツには、大きな住宅展示場が全国に4か所ある。逆にいうと、日本とほぼ同じ面積の国土の中に、わずか四つしかない。これらの展示場は、いずれも同じ組織が運営しているのだが、日本全国には住宅展示場と呼べる施設が200カ所以上あることを考えると、その数はあまりにも少ない。

《変更点》
・関心が比較的高い>関心が高い:「比較的」の削除
・4つ>四つ:数詞のときは漢字

 
■2段落目
<原文>
ドイツの住宅展示場が日本のそれと大きく違うところは、入場料が必要なことだろう。その額は大人が3ユーロだから350円程度である。6歳以上の子供や学生は半額だ。それほど高くはないものの、住宅展示場に入るために、お金を払うことなど日本では考えられないと思う。それに対して、しっかり払ってじっくり見るというのは、いかにもドイツらしい。

<掲載文>
ドイツの住宅展示場が日本と大きく違うのは、入場料が必要なことだろう。その額は大人が3ユーロだから340円程度。6歳以上の子供や学生は半額だ。それほど高くはないものの、住宅展示場に入るために、お金を払うことなどは日本では考えられない。しっかり払ってじっくり見るというのは、いかにもドイツらしい。

《変更点》
・日本のそれと大きく違う>日本と大きく違う:「それ」の削除。
・350円程度である>340円程度。:為替相場を反映/「程度」体言止め。
・考えられないと思う>考えられない:言い切りに変更。
・それに対し>削除

 
■3段落目
<原文>
その中の一つである、ヴッパータルという街の郊外にある住宅展示場に入ってみよう。ここには約50棟の家が建っている。外観の特徴の一つは、勾配のある大きな三角屋根だ。中には屋根の傾斜がほとんどない住宅もあるが、大抵の住宅が深い軒を持つ三角屋根を基本にしつつ、現代的なデザインがうまく融合されている。

<掲載文>
有料展示場の一つである、ヴッパータルという街の郊外にある住宅展示場に入ってみよう。ここには約50棟の家が建っている。外観の特徴の一つは、傾きのある大きな三角屋根だ。中には屋根の傾斜がほとんどない住宅もあるが、大抵の住宅が深い軒を持つ三角屋根を基本にしつつ、現代的なデザインがうまく融合されている。

《変更点》
・その中の一つである>有料展示場の一つである:有料展示場の方がわかりやすい。
・50棟>50棟:全角表示。
・勾配のある>傾きのある:一般の人には、「勾配」よりも「傾き」の方がわかりやすい。

 
■4段落目
<原文>
では、内開きの玄関に入ろう。段差がないから靴を履いたまま見学だ。しかも、どの家に入っても丁寧な出迎えなどない。案内の人がいても簡単な挨拶だけで、基本的には勝手に入って自由に見て回る仕組みだ。誰もいないように見えても、事務室として使われている部屋が必ずあるので、居心地が良いからといって、くつろぎ過ぎには注意が必要だ。

<掲載文>
内開きの玄関に入ると、段差がない。靴を履いたまま見学だ。しかも、どの家に入っても丁寧な出迎えなどない。案内の人がいても簡単なあいさつだけで、基本的には勝手に入って自由に見て回る仕組みだ。誰もいないように見えても、事務室として使われている部屋が必ずあるので、居心地がよいからといって、寝っころがったりできない。くつろぎ過ぎは禁物だ。

《変更点》
・では、内開きの玄関に入ろう。段差がない…>内開きの玄関に入ると、段差がない。:掲載文の方がわかりやすい。
・挨拶>あいさつ:ひらがなに変更。
・良いからといって>よいからといって:ひらがなに変更。
・くつろぎ過ぎには…>寝っころがったり…:「寝っころがったり」が追加。

 
■5段落目
<原文>
各棟の中の展示で良く見かけるのは、実物大の壁の断面模型だろう。壁の構造や断熱材の厚さなどが一目でわかる工夫がなされている。ドイツでは地震がほとんど起きないとはいえ、最低でも100年は持つであろう頑丈なまでの構造と、暖房の熱を逃がさない分厚い断熱材はドイツの住宅の要の一つなのだ。

<掲載文>
各棟の展示で良く見かけるのは、実物大の壁の断面模型。壁の構造や断熱材の厚さなどが一目でわかる工夫がなされている。ドイツでは地震がほとんど起きないとはいえ、最低でも100年は持つであろう頑丈なまでの構造と、暖房の熱を逃がさない分厚い断熱材はドイツの住宅の要の一つなのだ。

《変更点》
・断面模型だろう>断面模型:体言止め。
・100年>100年:全角表示。

 
■6段落目
<原文>
それから浴室は2階に配置されている事例がほとんどである。寝室や子供部屋の近くに洗面や浴室を配置するというのはとても合理的だ。しかも日本のように洗い場がないので、床の防水が不要というのも羨ましい。そして趣味の部屋や物置としての役割を持つ大きな地下室も魅力的だ。ドイツの住宅は、頑丈で暖かくて合理的なのである。

<掲載文>
それから浴室は、2階に配置されている例がほとんど。寝室や子供部屋の近くに洗面所や浴室を配置するというのはとても合理的だ。しかも日本のように洗い場がないので、床の防水が不要というのもうらやましい。そして、趣味の部屋や物置としての役割を持つ大きな地下室も魅力的だ。ドイツの住宅は、頑丈で暖かくて合理的なのだ。

《変更点》
・それから浴室は2階に…>それから浴室は、2階に:句点の追加。
・事例がほとんどである>例がほとんど:「事例」を「例」に変更/文末を体言止め。
・羨ましい>うらやましい:ひらがな表記。
・そして趣味の>そして、趣味の:句点の追加。
・合理的なのである>合理的なのだ:分末表現の変更。

 
■7段落目
<原文>
ドイツの古い街並を体験したら、今度は気分を変えて住宅展示場を訪ねてみよう。僅かな入場料を払うだけで、ドイツの人の住まうことへのこだわりが見えてくるに違いない。

<掲載文>
ドイツの古い街並みを体験したら、一度、住宅展示場を訪ねてみよう。意外な観光スポットといえるかもしれない。わずかな入場料を払うだけで、ドイツ人の住まいへのこだわりが見えてくるに違いない。

《変更点》
・…体験したら、今度は気分を変えて…>…体験したら、一度、住宅展示場…
・原文にはなし>意外な観光スポット…:文章の追加。
・僅かな>わずかな:ひらがな表記。
・ドイツの人の住まうことへの…>ドイツ人の住まいへの:表現の変更。

 
非常に長くなってしまったが、どこがどのように変更になったのか自分でも良くわかった。これからの参考にしたい。

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