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還流独歩

翻訳と天井放射暖房 2010.08.15

事務所に籠(こも)って翻訳作業をしている。いつもお世話になっている建築関連の企業から頂いた仕事である。毎日少しずつ時間を決めて作業をすれば良いのに、それができない。数日前から取りかかっているのだが、翻訳を始める前に片付いていない書類が気になったりして、まるで試験勉強を避けている中学生のようだ。

こういった作業は、やはりまとまった時間をつくらないと私はできない。それなりの集中力が必要だから、他の作業の合間に片手間でやるような中途半端な気持ちでは、人に読んでもらえるような的確な翻訳文に仕上げられないのだ。それにしてもドイツの建築法規に関する文章は難しい。自分の勉強にもなるとはいえ、頭を酷使する作業である。

午後になって上階のテラスに陽が当たり始めると、ちょうどその下で作業をしている私は、頭や肩に熱放射を感じるようになる。天井面を放射温度計で測ると35℃を示している。手のひらを天井に向けると明らかに熱線が伝わってくる。夕方になると熱放射は少しだけ治まるが、エアコンをつけても室温は30℃を超えている。

常備してある炭酸水を飲みながら、あと30分と何ども言い続けたお陰で作業はかなりはかどった。気がつけば終戦記念日が終わろうとしている。今日は追悼の日だ。一年に祝日はたくさんあるけれど、歴史を振り返るための慰霊の休日が一日くらいあっても良いのではないかと思ったりするのである。

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