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還流独歩

大都会ロンドン 2010.09.25

9月24日(金)の夕方に、デュッセルドルフからロンドンへ移動した。大都会ロンドン。ドイツのどの都市とも比較にならないくらい大きい。ロンドンという都市の境目がどこなのかはよく知らないが、中心部には700万人くらい住んでいるらしい。東京の23区内の人口が800万人弱だから、それほど変わらないのかもしれない。

私はロンドンに憧れたことがないので、実はロンドンに来ても何の感動も沸かない。ただ、地球という惑星の中の代表的な大都市の中に身を置いているということは実感できる。見どころはたくさんあるし、街中が躍動的だし、ロンドンが好きな人は何日滞在しても飽きないのではないだろうか。ロンドンという都市の懐は深くて大きいに違いない。

私は英語は得意ではないので、ロンドンにいると英語を話さなければいけないのが意外と辛い。でもイギリスの固い英語は何となく好きである。誰もが指摘するように、TODAYは「トゥダイ」、助動詞のCANは「カン」に近い発音が心地良い。イギリスにも方言があって、誰もがそんな風に発音しないのかもしれないが、アメリカ英語との違いが楽しい。

いつだったか、私がロンドンを案内するという大変に辛い役目を仰せつかったとき、貸切バスの運転手とのやり取りが難しかった。「Can you stay hier longer」と言う私のつたない英語に対し彼は簡単に答えた。「ヤ、ヤー。アーカンスター。アーカンスター」。私には「アーカンスター」が何のことかさっぱりわからなかったが、「ヤー」というのだから、まあ大丈夫なのだろうと思った。

運転手の彼とほぼ一日行動して、彼の英語が徐々に聞き取れるようになったとき、「アーカンスター」の意味がようやくわかった。彼は「I can stay」と言っていたのである。いや、確信などない。でも、おそらくそう言っていたに違いない。イギリス英語に慣れている人には、こんな話など聞くに足らないことだと片付けられてしまうと思うけれど、私にとっては実に新鮮だった。

そんなことを想い出しながら、輝く太陽と一緒に、ロンドン市庁舎を見て、タワーブリッジを経由して対岸のロンドン塔まで歩いて渡った。風が強く、日射しはあるものの気温が低いので結構寒く感じられる。それからロイズ本社ビル、そして土筆(つくし)の頭のような、30st Mary Axeを見て回る。昼食を挟んで、午後は大英博物館。相変わらず大き過ぎて食傷気味になる。そんなロンドンの一日は瞬く間に過ぎて行った。

加筆訂正:2011年1月12日

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