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還流独歩

飛込み世界一 その1 2010.10.02

朝、泳ぎに行った。いつものように30分程泳ぎ、最後にウォータースライダーを一本決めた。いつだったか書いたように、お尻を浮かせるようにして滑ると抵抗が少ない分、相当な速度になるので、急回転部分にさしかかると、水が流れていない部分にまで膨らんでしまう。最初は危険かと思ったが、何度か滑るうちに、背中がすり切れたりするほど危ないわけではないことがわかった。安心。

気分よくシャワーを浴びに行こうとしたら、年配の男性に声をかけられた。最初は何を言っているかわからなかったが、彼は英語で話しかけてきたのだった。ドイツ語で構わないと伝えると、「あなたは中国から来たのですか? それとも…」と言われたので、「カザフスタンです」と冗談でも言おうかと思ったが、素直に「日本からです」と答えた。その男性は続けて言った。「私は飛込み競技の世界一なんです。ただ、私の年齢でね。75歳なんです」。

このお父さんが、よく飛込みをしているのを私は何度も見ているので、多分、若いときに飛込みをやっていたんだろうと勝手に想像していたが、現役の選手だったとは知らなかった。お父さんは確かに年配には見えるが、75歳とは思えない。そして質問は続いた。「飛込みの世界選手権にずっと出場しているのだけれど、アジアの国々から私のような高齢の人がまったく出場しないのは何故なのでしょうか」。「・・・・・・/汗」。実に答えに窮する質問だ。

「飛込みでは中国とか日本の人でも優秀な選手がいるけれど、みんな若い人ばかりで、私のような年齢の人が大会に出ているのをいままで見たことがないのです。それが私の質問です」。「そうですねえ。飛込みは、まず競技人口が少ないですよね」。「それはわかるけれど、アジア各国から、上の年代の人が誰も出ないというのは不思議です。もし機会があったら、その理由を調べて、今度教えて下さい」。75歳のお父さんから難問を頂いてしまった。

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