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還流独歩

今日から秋休み その1 2010.10.11

ケルンはドイツにある16州の中で、長い名前を持つ「ノルトライン・ヴェストファーレン」という州に属している。英語に直すと、ノースライン・ウェストファリアである。要はライン川の北に位置していて、ファーレンの西側という意味である。後半のヴェストファーレンという地名は、西暦800年くらいから用いられているようだから、相当な歴史があるし、1648年に30年戦争が終結したときに結ばれたウェストファリア講和条約という名前でも歴史に刻まれている。

ところで、このノルトライン・ヴェストファーレン州を含む7つの州が、今日から2週間の秋休みに入った。今年の夏休みは8月29日に終わり、そこから6週間の「秋学期その1」が始まった。そして8週目の今日からまた休み。今月の最終週を含めて9週間が「秋学期その2」で、12月24日(金)から、また2週間の降誕祭兼新年の冬休みに入る。今年の暦で見ると、日本の2学期は17週間あるから、それと比べると2週間少ない。あたり前の話だが、その分が秋休みである。

この国の人たちは休み過ぎだ。新年の冬休み、2月はスキー休暇、3月か4月にはイースター休暇、初夏休暇、そして6週間の夏休み、続いて秋休み、最後が降誕祭の年末休暇。2月のスキー休暇と初夏休暇は、学校の休みとは関係ないけれど、何だか休みっ放しの感じがする。ドイツの人は休暇のために仕事をしているようなところがあるから、それで構わないとは思う。しかも年間の有給休暇は28日から30日程あるから、2週間の休みが年に3回取れることになる。

それに引き換え、日本の現状はどうだろう。祝日は多いけれど、定職についている人で、ドイツ人並に休暇を取得できる人は、もしかしたら本当に一人もいないかもしれない。ケルンの事務所に勤めていた頃、打合せに来たメーカーの方に「打合せを反映した図面を来週もらえますか」と訊くと「申し訳ないです。来週は休みなんですよ」という返事が返ってきた。すかさず同僚が「スキー休暇?」と突っ込む。「そうなんです」「どこに行くの?」「今回は…」「ああ、あそこのスキー場ね、私も行ったことがありますよ」「すみません、図面は再来週になります」「了解、お気をつけて・・・」。

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