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飛込み世界一のお父さん 2010.10.18

先日、飛込み競技について、つまらないようなことを書いてしまった。別に誰かから非難されたわけでなはないが、何だかとても失礼だったと反省している。そこで今日は飛込み世界一のお父さんの演技をじっくり見ることにした。といっても、実は昨日の日曜日のことなので、一日遅れになってしまった。

75歳になるお父さんは色々な演技を見せてくれる。弾力性のある飛び込み板から跳ね上がって難しい回転を決めたり、7.5mの飛び込み台の端に後ろ向きに立ち、飛び上がって足を上にして頭から落ちる技もできる。あとは足を前に出したV字座りから、上半身を起こした反動で、そのまま飛び込んだりもしている。どれも私には絶対にできない技だ。

せっかくなので、演技の途中のお父さんに話しかけてみた。私は飛込みの世界選手権に、お父さんの世代の人が何人出場しているのか訊いてみたくなったのである。その答えは4人から6人だった。お父さんも含めて2人しかいないときもあるという。私は世界中から50人くらいの参加かあるのかと漠然と思っていたので意外だった。

75歳で飛込み競技をしている人が世界中に何人いるのか知らないが、参加人数が少ないからといえ、お父さんは世界一なのだ。ケルン訛りの強いお父さんの話は続く。「この年になったら、みんな身体のどこかが悪くなるんだよ。足が痛いだの、腕が上がらないなんて普通だよ。入院している友人だって何人もいるからね」。確かにそうだろう。

でも、そのお父さんは元気そのものだ。その演技を見かけるようになったのは、いつ頃からだろうか。私の記憶あるのは、4年くらい前なのだが、おそらくそれ以前からも毎日のように飛び込んでいたに違いない。どんな競技であれ、普段の生活の中で世界一の人に会うのは至極難しいことだと思う。

今日、お父さんの演技を見ていて思ったことは、飛込みというのはきっと奥が深い競技なのだと思う。ほんの一瞬の時間の中で自分を表現することに醍醐味を感じるのかもしれない。演技の時間が短いからこそ、技を追求し始めると、のめり込んでしまうことも考えられる。その気持ちは何となくだけど理解できそうだ。

私が飛込み競技を始める可能性は極めて低いけれど、いくつになっても、日々取り組めることがあるというのは実に素晴らしい。世界一のお父さんに出会えたのは貴重なことだし、少しでも見習うべきことがあるように思う。お父さんさんには、これからもずっと飛込みを続けて欲しいと思う。

ところで、次回の世界選手権は一体、いつ、どこでおこなわれるのだろう。今度会ったら訊いてみよう。

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