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還流独歩

札幌で一泳ぎ その2 2010.10.23

仕方なく監視員室に行く。大きなガラス窓には「貴重品はお預りできません」と書かれている。私みたいな人がいるのだろう。これはどうも断られそうだと思いつつ、出てきた女性に理由を話すと、やはり貴重品は預れないと言う。私が理由を説明すると、「では今回だけです」と言って、締まりのないゴム鍵を受取ってくれた。私も預ってもらうのは恐縮なのだが、鍵の構造が悪いのだから仕方がない。

50mプールはいくつかのコースに分かれていて、真ん中は50mを完泳できる人の専用になっている。そこは、2コース分が割り当てられているので広く感じる。泳いでいる人は4、5名だろうか。時計を確認し、13時40分から泳ぎ始める。それにしても50mは長い。もちろん端まで泳ぎ切れるのだが、ターンが少ない分、25mよりも泳ぐ力が必要になる。

いつもよりも呼吸が荒くなるのを意識しつつ、ゆっくりと泳ぐ。400mほど泳いだところで、監視員の人に呼び止められた。右側通行を守っていたつもりだったが、行きはコースの端を泳いでいるのに、返りは真ん中を泳いでいたのである。幅が2コース分あるのに、いつもの癖で1コースの幅の中で往復していたわけだ。これには素直に謝るしかない。大変に失礼しました。

そんなことがありつつ、結局、50mを36本は泳いだと思う。約1800mである。プールの雰囲気は暗いが、一気に50mを泳げるのは実に最高である。心地良い疲れを感じつつ、監視員室で鍵を返してもらい、シャワーを浴びに行く。ここで、また一つ疑問が出てきた。入るときには気がつかなかったのだが、壁にはこう書かれている。「シャワーを浴びるときには水着を脱がないで下さい」。

私は仕方なく水着をつけたまま頭と身体を洗いつつ、水着を脱いではいけない理由を考えた。そして次第に、どうしても水着を脱いで身体を洗いたくなった。しかも隣りでシャワーを浴びているお父さんは全裸で、銭湯にいるように気持ち良さそうにしっかりと身体を洗っている。点検に来た係の男性も注意することがなかった。

水着をつけたまま身体を洗うのは何だか気持ちが悪い。水着を脱いではいけない理由を探したけれど、やっぱりわからない。脱がないと、水着がほぼ完全に濡れたまま更衣室に戻ることになる。こういった決まりは守りたいけれど、水着をつけたまま身体を拭くのは避けたいから、結局、脱いで身体を洗った。

更衣室にあるドライヤーも有料。3分で20円。「ここは銭湯か」という疑問を抑えつつ、気持ち良く泳ぐことができたので、これも許そう。少し時間がなくなってきたので、急いで出る用意をする。受付で対応してくれた女性に声をかけてプールを後にした。 秋の太陽が眩しい。

たくさんの文句を書き連ねてしまったが、札幌で泳ぐことができ、また少し気持ちが前向きになった。今度、別の機会があったら、違うプールに行ってみようと思う。

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