理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

買い物かご その1 2010.11.10

日本に戻って来て、スーパーやコンビニエンスストアに買い物に行ったときに思うことが必ずある。「日本の買い物かごは実になっとらん!」。何がなっとらんのかというと、そのデザインである。買い物かごにそんなことを求めるとは、相変わらず頭がおかしいと思われるかもしれないが、こういった普段、何気なく使うものの形状が、日本では残念ながら、ないがしろにされていると感じることが多い。

では、ドイツの買い物かごは格好良いのかというと、おそらく人によって見方が大いに変わるとは思うが、私は日本のよりかはまともだと思っている。理由は無駄な丸みがなくて四角いからだ。かといって、特別に角張っているわけではないから、持ったときや、万一身体などにぶつけたときでも怪我をするような形状はしていない。簡単に言うと無駄な丸みがないのである。しかも樹脂ではなく、金属製で少し重いのが多い。

ユニバーサルデザインなのかどうかは知らないが、日本の買い物かごは、一辺が微妙に丸みを帯びていたり、あるいは全体的に柔らかな印象を与えるような妙な膨らみとかがあって、全体のデザインに締まりがない。前にも書いたけれど、特に女性が頻繁に使うものは丸を強調したデザインでないといけないのだろうか。丸みのある形は本当に女性向けなのだろうか。私は自問自答を激しく繰り返す。

女性には丸いデザインを与えておけば良いという向きが、もし仮にあるとすれば、それは女性に対する冒涜ではないかとさえ最近は思うようなった。私は丸いものすべてを否定しているわけではない。毎日の食事に気を使うように、普段使うものや、手で触って感じるもの、そういったもののデザインにもっと注意を払いたいと思っているだけなのだ。女性を敵に回すつもりはないが、丸くてかわいいデザインではなく、格好良いものに目を止めて欲しいと思う。

« »