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還流独歩

年賀状 2011.01.10

今年もたくさんの方から年賀状を頂いた。本当に有難いことなのだが、大変に申し訳ないことに、昨年同様、誰一人として返事を書けていない。何人かの方にはメールをしたり、電話をかけたりしたが、それでも気持がすっきりしないし、自分のせいとはいえ、胸の中に沸き上がるわだかまり感は、いかんともし難い。

数年前まではそれなりに準備して、降誕祭前に挨拶状を出していたから、今年こそは遅くなっても年賀状を出そうと思っていたのに、もう成人式を迎えてしまった。素直に諦めて、寒中見舞いとかした方が良さそうだが、その寒中見舞いの時期も始まっているし、どう考えても二月初旬までに返事は書けなさそうである。

その先の季節の便りとなると、暑中見舞いか…?…というくらい恥ずかしい状況なので、気休めに時候の挨拶を調べてみたら、二月は「残寒」、三月は「陽春」、四月は「桜花」、五月は「新緑」、六月は「入梅」、七月は「向暑」、八月は「季夏」といった月ごとの季語があることがわかった。

こういった季語からは、季節の移ろいを感じ、それをことばに託す日本人の手紙文化は素晴らしい。おそらくここまで細かい導入の挨拶はドイツにはないだろう。でもその分、休暇先から家族や友人に絵はがきを送ったりするから、ドイツの人は意外と手紙好きだったりするのである。

以前、勤めていた設計事務所の同僚が休暇中に送って来た絵はがきには、汚い字で「太陽、空、砂浜」とか何とかだけが書かれていた。その潔さには感心したが、この事例は例外だとしても、季節の挨拶など堅苦しく考えず、そんな気楽な感じで出せば良いのかもしれない。と言いつつ、やっぱり年賀状は気になるのである。

毎週、何通か返事を書くと決めて、それを励行するだけで気持は徐々に軽くなるはずなのに、おそらくわだかまりを抱えつつ、また今年も過ぎて行きそうだ。昨年、お世話になりながら年始の挨拶ができなかった方、そして年賀状を頂きながらも返事を書いていない方に対し、ここでお詫びするのも甚だ恥ずかしい限りなのですが、どうかお許し下さい。

時期を追って返信できるかどうかは、かなり怪しいのですが、何らかの形で連絡できればと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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