ドイツの郵便事情 2011.01.25
ドイツの生活の中において、あらゆる面での時間の正確さについて考えるとき、郵便の配達事情に関してだけは実に迅速であると思う。欧州の国の中でも、ドイツは時間を守ることに対する意識が高い国の一つだが、それでも日本に比べたら、悠長に構えられる広い気持が求められることが多いのに対して、郵便に関しては誠に正確である。どこからか又聞きなのだが、ドイツでは、国内のどこで郵便を出しても、原則として翌日配達されるようなのだ。
おそらく北海に浮かぶ島や国境に近い小さな街で出した郵便が、最も遠い地点へも翌日に配達されるかどうかについてはわからないが、私宛に届いた郵便の消印を見ると、ほとんど前日に投函されたものであることがわかる。ドイツ国内のポストの集配回数までは具体的にはわからないが、郵便局の脇や、郵便が多く集まるポストは、一日の中で3、4回だろうか。都市部を離れると、一日数回というのが普通であるから、この確実さは高く評価されて良いと思う。
その中で特筆すべきことは、ケルンのような都市部などでは、翌日配達をしてくれる最後の集配が、平日に限って前日の22時や23時に設定されていることだ。つまり、日付が変わる少し前までに同じ市内宛の郵便を投函すれば、ほぼ確実といって良いほど翌日に届く。これは実に便利で素晴らしい。いまはインターネットが普及したお陰で、磁気媒体で書類を送る機会が圧倒的に増えたが、紙媒体の郵送が必要なときも多いから、夜間集配で翌日配達は大変に有難い。
と言いつつも、その迅速さの恩恵を受けることは実はあまり多くはないのだが、夕方までに投函した郵便が、ドイツのどこにいる相手にも、ほぼ翌日に着くことが保証されているのは安心できることの一つであろう。ドイツは日本のように国の形状が細長いわけではないし、標高もそれほど高くはない。そこに網の目のように張り巡らされたアウトバーンが整備されているからこそできることなのかもしれない。
ドイツの郵便事情にも何かと問題はあると思うけれど、郵便を送る側の一人として、ドイチェ・ポストは日常の生活の中で信頼できることの一つなのである。