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還流独歩

遅れる時計 2011.01.29

ドイツと日本を移動すると、スーツケースの中に入れてあるアナログの目覚し時計に不思議な現象が起きる。移動が終わって中から時計を取出すと、必ず30分ほど遅れているのである。最初は止っているのかとも思ったが、秒針は問題なく動いている。もしかしたら私の見間違いで、遅れているのではなく進んでいる可能性もあるが、おぼろげな記憶に間違いがなければ、大抵の場合、西行きでも東行きでも遅れてしまうのだ。

その理由はわからない。ただいつも到着したあとは、そんなことをゆっくり考えていられないので、飛行機の独特な揺れがきっと時計の機構に何か影響を与えているのだと勝手に思っている。いや、もしかしたら荷物を入れる貨物室の温度が影響しているのかもしれない。そこでまたいつものように、ほんの少しだけウェブで検索してみたら、「貨物専用の航空機」の貨物室の温度は、氷点下5℃くらいから30℃前後まで、ある程度の範囲で設定できるらしい。

では「旅客機の貨物室」はどうかというと、前方と後方にある二つの貨物室とも客室とほぼ同じような温度に保たれているようだ。これまでの経験からいっても、ビールのような液体が凍ったり破裂したこともないし、チョコレートが融けてしまったということも一度もないから、荷物に問題が生じるような過度な温度にはなっていないと思われる。ということは低温のために時計が遅れるということはなさそうだ。

それ以外としては気圧だろうか。貨物室は少し気圧が低いというような記述も見られるので、それが関係しているかもしれないと思い、これまたインターネットの情報を大雑把に検索してみたが、参考になるような記述は見当たらなかった。あとは磁場の影響などあるのだろうか。はたまた相対性理論が可視化されたのか、疑問は深まるばかりある。でも、もしかしたら、時計そのものが時差ぼけになっているという可能性はないだろうか。

そんなことはあり得ないと思いつつも、いまは8時間の時差があるから、時計もほんの少しだけ、それに付き合ってくれているのかもしれない。そういうことにしておこう。

加筆訂正:2011年4月14日(木)

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