理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

水撒き 2011.02.04

お店を開ける前に、道路に水を撒という慣習のようなものが日本には残っている。それはどのお店にも当てはまるわけではないと思うが、和菓子屋さんやお寿司屋さん、あるいは呉服屋さんといった和の文化を継承しているところが多いのではないだろうか。だからといって、それ以外の店舗が水撒きをするのはおかしいということにはならないはずだ。

開店前に水を撒くというのは、単純な表現になってしまうが、とても良いことだと思う。寿司屋でのアルバイトの経験からでしか話せないが、開店前には、まず床を掃いてから、店内と前の道路に水を必ず撒いていた。ついでに白木のカウンターも水拭きする。それだけのことだが、開店前のお店が清々しく凛とした雰囲気に包まれたことを想い出す。

この水撒きが打ち水と関係があるのかどうかはわからないが、夏の暑い時期の打ち水もまた、本当に小さな微気候をつくり出す役割を持っている。気温を大きく下げるような効果などは望めないものの、涼しい雰囲気を醸し出すことはできると思う。お店の前で水撒きをしているのを見ると、日本が水の国であることを実感する瞬間だ。

いまは冬だから水も空気も冷たいけれど、水撒きはとても気持良く感じられる日本の風景の一つであるように思うのである。

« »