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還流独歩

電話で道案内 2011.02.07

携帯電話が増えたお陰で、電話を使って道案内する機会が多くなったと思う。仕事の関係で初めて伺うような場合は、事前に地図などを出力して、間違うことなく約束の時間に着くように心掛けるのが一般的だと思うが、多少なりとも気軽な相手だと、最寄駅に来てから電話で道順を訊くということが良くあるはずだ。

私はほとんどの場合、事前に住所を調べて、それをもとに訪問先に行くようにしている。駅からどれくらい離れていて、どのように行けば良いのか、大まかな地図を頭に入れておくことで、ほとんど問題なくたどり着くことができる。都内には複雑なところがたくさんあるが、住所さえあれば大抵のところには行けると思う。


飲食店に行った感想などが掲載されているサイトを見ると、「非常にわかりづらい場所にあって、見つけるのが大変だ」というような書き込みを見かけるが、私はそういった体験をしたことがほとんどない。住所がわかっているのに、目的地にたどり着けないというのは、住所の意味がないと思うのは私だけだろうか。

いつだったか、ある飲食店を探して何人もの人と銀座を徘徊したことがある。知人が携帯電話からお店にかけて道案内をしてもらうのだが、お店の人の「高速道路が見える方向に来て下さい」で混乱。銀座の交差点に立てば、二方向に高速道路が見えるからだ。どちらに向かえば良いのか状況が読めないままの電話がしばらく続いた。

私は傍観しつつ行動を共にしていたのだが、しびれを切らて電話を変わってもらった。住所を訊いたら銀座0丁目だった。正式にはそんな住所はないのだが、高速の下に軒を並べる店舗が密集した一体をそう呼んでいる。しかも近くに交番があったので、念のため訊いてみたら、私の方向が正しく、それまでは90度違う方向へ進んでいたのだった。

場所を確信した私は、逆に全員を引率する係になり、お店にはほどなくして着いた。そこで私は思った。約束の場所にでかけるときは、せめて住所だけでも訊いておこう。それさえわかれば、駅でも、交番でも、コンビニエンスストアで訊くなり、通りにある区域図を見るなりすれば、行き先の手がかりくらいはつかめるものだ。

それができないこともあるから、携帯電話で道案内をお願いするわけだが、こういうことは、どうも二派に分かれるらしい。行き場所を調べてから来る人と、近くまで行ってから携帯電話で案内してもらう人の二種類だ。そう言えば誰かが言っていた。携帯電話の普及によって、時間により正確な人と、その反対の人の差が顕著にになったそうだ。

確かにそうかもしれない。ただ、どちらが良くて、どちらかが良くないと、この場で決めつける勇気は私にはないので、時間に正確さが求められる場合でなければ、行き先は適度に調べつつ、携帯電話も使うという緩い感じで宜しいのではないでしょうか。

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