理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

設備と建築 2011.02.14

全国に営業所を構える某大手設備工事会社の方と、もう一人、いつもお世話になっている建築家の方を交えて食事に行く機会を頂いた。数年程前のことだが、私が九州に行ったときに、博多でもお会いし、そこでも大変にお世話になったことがある。急な話だったが、予定を変更して合流させて頂くことにした。夕方、秋葉原の事務所にお邪魔し、簡単な打合せを終えたあと神楽坂へ移動する。夕方から降り出した冷たい雨の中をついて行くと、美味しい葡萄酒を頂けそうなお店が路地裏に佇んでいた。

話は戻って、いまにして思えば、そう長い時間ではなかったが、私も設備設計の経験があるので、建築設備に関することはいまも理解できるつもりでいるし、あるいは設備設計側から提案する意匠も必要だと思っている。ただ、設備設計というのは、基本的に機械的な手法を用いることが根底にあるため、自然の働きかけも併せて利用するような複合的な解決方法を模索し始めると、特に日本の場合、簡易な方向ではなく、より複雑で、安全を見越した提案を余儀なくされることが多くなると感じている。

本来なら、適切な建築的手法により、設備機器の能力や容量を低減できると良いのだが、日本では、気候や建築分野が抱えるいろいろな要素から、一方向的な手法ですべてを解決するのは非常に難しい環境にあると思う。これは言い訳ではなく、まずは現実を見据えることが大切だし、それを踏まえた上で新たな提案を行う必要があるからだ。そんなやや難しい話を織り交ぜつつ、ワインと絶妙に合う食事を頂きながら、これからの建築の方向性についていろいろな角度から話をさせて頂いた。私にとっては極めて貴重な機会である。

夕方から降り出した雨は雪に変わった。足下は冷たいけれど、週始めの月曜から温かい気持にさせて頂いた。繰り返しになるが、こうしてまた、お声をかけて頂いたことに対し心より感謝する次第である。

« »