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還流独歩

教職課程 その2 2011.02.24

最終的に私は、教職課程に必要な最小限の32単位を取得して、無事修了することができたが、いまでもそのときのことを時折想い出したりする。確か機械工学科の数学を履修しなければならず、その先生に、どうしても単位が必要であることを説明しに行ったこともあった。そして、試験に向けて最大限の努力はするけれども、絶対に落とさないで欲しいと教職課程を受けている他の友人とともに嘆願書を出したりもした。試験には受かり、今度はお礼に行った。

代数だったか幾何だったか忘れたが、もうどうしようもないくらい理解できない数学の授業を受けているときに、私は「中学で授業をするのに、こんなに難しい数学を学ぶ必要があるのかなあ」というようなことを、つい口走ってしまったことがあった。それを聞いた先生は、「あなたには単位は絶対にあげません!」と急に怒り出した。これで教職課程も終わりだと思ったが、友人がその場を何とか取り成し、最終的に私は貴重な6単位を取得した。

大学の先生というのは、実に変な人が多いと思う。その数学の先生は、いつも赤ら顔をしていて、どうやら日常的にアルコールを嗜んでいる様子だった。その先生の専門を否定するようなことを言ってしまった私も悪かったが、私への怒りも酔いからだったのかもしれない。そんな変な授業がたくさんある中で、建築や数学とは関係ない、教育原理や教育心理学といった授業は実に面白かった。その影響を受けて心理学の本も結構読むことになった。

私が教職課程を履修したのは、学校の先生になりたかったからではなく、何かのときのために取得しておきたいと思ったからだ。だからそれほど本気ではなく、いわゆる潰しが利くようにと軽く考えていた向きもあった。斜に構えたそんな気持で教職課程を履修しても良いものかどうか心配になったから、履修担当の先生に相談にも行ったことがあったが、快諾してもらえたのは嬉しかった。そして周りの友人からの協力が得られたことも幸いであった。

その経験が、いまの私にどのような影響を与えているのかなど、自分ではまったくわからない。はたして役に立っているかさえも疑問なのだが、そんなことを考えてみたところで何の意味もないので、何がしかの糧になっているということにしておこう。そして、実に大変であった教育実習での体験についても、いずれ書こうかと思っている。

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