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還流独歩

完成見学会 その2 2011.02.27

それまでの道のりも、人によって紆余曲折があり、平坦ではないのかもしれないが、結婚して一緒に住み、しかも子供がいるとなれば、考えや価値観が似ているのは当然だ。むしろそうだからこそ家族になったのだろう。夫婦でも互いの性格は違う感じの人は、もちろんたくさんいるとは思うけれど、家を建てたいという方向性が大きく変わることはないのだと思う。実際、見学会に来られた方々は、若い世代が実に多い。子供が生まれて数年もすれば、それまで二人で住んでいるアパートやマンションは、次第に手狭になる。少子化と言われつつも、子供が二人もできれば、毎月、一定額の家賃を払うよりも、戸建て住宅を建てた方が良いと考えるのは、特に北海道なら自然な流れだろう。

そして話は少し戻る。私は見学会に来た方、全員と話をしたわけではないので、一方向的な見方になってしまうかもしれないが、人によって、家の見方というのは実に千差万別である。住宅を大きく捉えて、コンセプトに近い質問する方もいれば、キッチンや水廻り、あるいは細かなことについて熱心に質問する人もいる。私がそれをとやかく言う筋合いなどない。そしてこれもすべての方にあてはまるかどうかわからないが、往々にして言われるのが、男性は家づくりに対して意外とロマン的で抽象的なことを求めたがる傾向があるのに対して、女性は実に現実的である。もちろん、そうではない面も多々あるとは思うが、私の意見に賛同してくれる人は少なくないと思いたい。

以前にも書いたかもしれないが、建築主の要望というのは、大雑把に分けると、頭の中で思い描けるものと、漠然としたものに分けられる気がするのである。例えば、寝室は少なくとも8畳は欲しいとか、浴室は広くしたいといった要望は、ある意味、現実的な思考であり、どのような形でそれが実現するかはわからないにしても、想像ができることだと思う。その一方で、明るい家にしたいとか、自然の風合いを感じられる家、あるいは家族のコミュニケーションが取れる家、人をたくさん呼べる家といった要望に対する答えを導き出すことは実に難しい。試行錯誤の上に生み出して、そして実際にできあがったものがその回答の一つでしかないのだ。

二日間で、25組の方にお越し頂いた。楽しそうに見学してくれる方が大半だったが、少し難しそうな表情で見に来られた方もいる。私はそれで何も構わない。ともかくお越し頂いた方と、準備頂いた工務店さんにお礼を申し上げる次第である。

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