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還流独歩

細部と全体 2011.04.25

夕方、一通りの作業を終えてから散策に出る。今日も晴れて素晴らしい休日になった。といっても日本は平日だから、こちらの暦通りに休むことは気分的にあまり乗らないので、朝からそれなりの作業を行なう。外に出てみると部屋にいたときにはわからなかったが、気温が本当に高く、陽射しを受けながら歩くと暑いくらいである。

歩いて10分くらいのところに、以前から気になっていた集合住宅が完成したので、まずはその写真を撮りに行く。全体的なまとまりや、部分的に用いられている木の使い方もさることながら、張出したバルコニーに設けられた木製の日除けが好印象を与える住居群である。外から見る限り、すべての住居が入居済みのようである。

こういった事例は、全体的に奇麗にまとまっているが、細部は意外と大雑把なつくりをしていることも多い。例えば、バルコニーの転落防止用の柵には使われているガラス板の手を乗せる小口部分には、亜鉛板と思われるU字型の押さえをはめているだけのように見える。つくりが粗いとまでは言わないが、いわゆるざっくりとした感覚を思わせる。

これは最近のドイツ建築の典型的な事例の一つだ。あるいはドイツだけでなく、オランダの建築にもあてはまる気と思う。簡単に言うと、安い材料を使いながら、細かなところは大雑把に収めつつ、全体には上手にまとめられているように見えるということなのだ。ドイツの最近の建築を見ると、いつもそんなことを感じてしまう。

ドイツの建築デザインが極めて優れているとは思わないけれど、細部の良い意味でのいい加減さと合わせて、全体的に見えるまとまり感というのは、一体どこからやってくるのだろうか。もしかしたら減り張りの加減が上手なのか、あるいは割り切りの良さなのかは良くわからないが、今日見た集合住宅も実に格好良く見えるのである。

相変わらず、日本との違いは何かを自問自答しながら、天気が良いので、そのままライン川へ行く。今日はケルンの近郊を自転車で約200km近く走破する大会が開かれていたようで、いつも交通量の多い通りは通行止めになっており、中継車や、協賛する企業のテントなどが並んでいた。

西日が当たるライン川の右岸にはたくさんの人が日光浴を楽しんでいる姿が遠くに見える。川沿いを散策する人も多く、カフェにも人が溢れている。復活祭の4日間は、好天に恵まれ、多くの人にとって素晴らしい休日になっただろう。ドイツの人たちの明るい表情を見ると、何だかこちらまで気持が和らぐのだった。

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