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還流独歩

平成生まれの基礎研究 その2 2011.06.03

実験3.では、同じ量のお米を普通に炊いた場合と、お粥にした場合での比較を行なっている。後者の方が時間がかかり、また電力消費量も多いことがわかった。その大きな理由は、水の量が違うことが考えられる。その一方で、同量の米を、標準炊きと早炊きで比較してみると、両者の電力消費量には、ほとんど差がないという結果が得られている。また、炊き上がった2合のご飯を炊飯器で3時間保温する場合と、冷めてしまった状態のご飯を電子レンジで温めたときに必要な電力消費量を比較すると、電子レンジの方が電力を多く使用するという結果も得られた。

4.の実験でも、興味深い実験結果が明らかになっている。実験対象として、デスクトップ型とノート型の他に、さらに小さいネットブック型の3台のパソコンの電力消費量を測定したところ、その順に55.1、17.4W、12.2Wであることがわかった。ところが、スクリーンセーバーを起動させると、それぞれ、67.6W、19.6W、18.5Wというように、通常の使用時よりも電力を20%から50%程度、多く消費するという結果が得られたのである。またスリープ状態と電源を切った状態での待機電力には、いずれも大差はなく、デスクトップの場合で、いずれも約2W前後、他の2種でも1W以下であるため、パソコンを使わないときには、スリープ状態にすることで節電が可能となることが示された。

これらの結果を求めるためには、必ず前提条件がある。ここでは、それらを詳しく説明できないので、かなり表面的な結果のみしか紹介できないし、私自身もわずか10分の発表と、手元の梗概(こうがい)を読み返して判断しているので、もしかしたら部分的に誤解して受取っている面が少なからずあると思うが、それを考慮したとしても、普段の生活では見過ごされがちな、意外と気づかない部分を鋭く捉えているのではないだろうか。しかも彼らのまとめ方だけでなく、楽しそうに発表している姿がとても印象的だった。実験は地味だ。発表は楽しくやろう。

大学4年生と言えば、立派な大人だ。でも自分もそうであったように、まだ社会的な経験を何も積んでいない真っ白な状態であったりもする。そんな彼らが、自分たちで実験課題を探し出し、その結果を予想し、そしてそれらが正しかったか、あるいは予想とは異なったかを確認することは、とても大きな意義を持つと私は思う。自分たちで調べて、自ら考えて答えを出す。それはもしかしたら、日本の義務教育という誰もが通り過ぎる課程の中で、最も欠けていることのようにさえ感じられる。

今日の4年生の発表は、まだ初歩の段階だから、実験そのものや表現方法についても詰めが甘い部分が多々あるとは思うけれど、それはごくあたり前のことだし、これから卒業論文に向けて、徐々に加速度を高めて行くことになるだろう。恩師の研究室は私自身の研究室ではないけれど、元気な学生たちと、それをおおらかな視点で、そして的確に指導をしている環境を体験することができ、今日も実に勉強になった。そして本当に良い刺激も頂いたと思う。研究室の皆様、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。機会をつくってまた伺いますので、またいろいろと教えて下さい。宜しくお願い致します。

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